超音波のパワーで食材をスイスイ切れる「超音波包丁」が登場、実際に切っている様子を見せる動画も

アメリカのシアトルに拠点を置く家庭用包丁メーカーのSeattle Ultrasonicsが、ボタンを押すだけで振動すら感じない程度の超音波を発し、柔らかい食材でもつぶすことなくすいすい切れる「超音波包丁」を開発しました。
Seattle Ultrasonics
https://seattleultrasonics.com/
Seattle Ultrasonicsが開発した超音波包丁がどのようなものになっているのかは、以下の動画を見るとわかります。
The World's First Ultrasonic Chef's Knife for Home Cooks: Seattle Ultrasonics C-200 - YouTube

これがSeattle Ultrasonicsの超音波包丁です。

よく見ると、刃の根元付近にボタンがあるのがわかります。このボタンを押すと超音波が発振され、包丁に見ただけではわからない程度の微細な振動が生じるとのこと。

超音波の振動は見た目には一切分からず、包丁を持っている手にも伝わりません。しかし、すっと刃を入れるだけでトマトが薄くスライスされました。

ただ置いただけの果物を、手で押さえることすらせずに上部だけカットすることも可能。

Seattle Ultrasonicsの創業者であるスコット・ハイメンディンガー氏は、過去15年間にわたってさまざまな家庭用調理器具を開発してきた人物。

特にハイメンディンガー氏は、工業現場の技術を調理器具に取り入れることに関心を持っているとのこと。

ハイメンディンガー氏が超音波包丁を開発するきっかけになったのは、偶然YouTubeで視聴した超音波食品裁断機の動画でした。

これらの超音波食品裁断機は、高振幅の超音波エネルギーを裁断ヘッドに通すことで機能しています。

ハイメンディンガー氏が開発した超音波包丁をスローモーションで見ると、刃がわずか10~20ミクロンだけ前後に振動しています。この動きが1秒間に4万回以上という高頻度で繰り返されるため、刃が摩耗してもよく切れるという仕組みです。

これにより、超音波包丁は少ない労力で食材をカットできます。



切断時の力を正確に測定しつつ切ることができるロボットを使用し、超音波包丁の性能をチェックしてみます。

その結果、超音波をオンにすると、オフにした場合と比べて約半分の力で食材を切れることがわかりました。強い力を入れずに切れるため、柔らかく崩れやすい食材でもつぶれることなく、きれいに切れるというわけです。

また、超音波をオンにすると刃が常に微細な振動を発するため、食品が刃にくっつきにくいという利点もあります。

刃に塩を載せた状態で超音波をオンにしてみると、振動の様子がよくわかります。

また、刃先に触れた果汁などの液体がミストになることも確認できます。

ハイメンディンガー氏が開発した超音波包丁は3層構造で、日本製の鋼を使用しています。

通常の包丁と同じように研ぐことが可能です。

バッテリーはUSB Type-Cケーブルで充電可能。

また、オプションのワイヤレス充電ケースに収めて充電することもできます。

ハイメンディンガー氏は6年間にわたり研究開発を行い、数十種類ものブレード形状を試したとのこと。

回路基板を何度も作り直し、ようやく完成しました。

ハイメンディンガー氏が開発した「C-200 Ultrasonic Chef's Knife」は、ワイヤレス充電ケースなしのバージョンで税込5万8100円。

ワイヤレス充電ケース付きの「Knife and Charger Bundle」が税込7万500円でした。

なお、Seattle Ultrasonicsは「切る」という動作の仕組みを解明する過程で、世界的に人気な21種類の包丁について合計10万点以上のデータポイントを収集。その結果を基にした「食品カットに優れた包丁ランキング」を公表しています。
Knife Database – Seattle Ultrasonics
https://seattleultrasonics.com/pages/knife-database
ランキング上位には貝印の包丁ブランドである旬シリーズの「旬Classic シェフズ ディンプル 200mm」、ヴォストフの「クラシック 牛刀 20cm」などが並んでいました。
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in 動画, Posted by log1h_ik
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