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Dolbyが「Dolby Vision 2」を発表、AIと「本物の動き」のスムージングを強化する次世代のHDRフォーマット


Dolby Laboratoriesが開発するハイダイナミックレンジ(HDR)映像のためのフォーマットである「Dolby Vision」の次世代規格となる「Dolby Vision 2」を発表しました。

Dolby Unveils Dolby Vision 2: A New Era for TV Picture Quality | Dolby Newsroom
https://news.dolby.com/en-WW/253671-dolby-unveils-dolby-vision-2-a-new-era-for-tv-picture-quality/


Dolby Vision 2 goes beyond HDR with more AI and ‘authentic motion’ smoothing | The Verge
https://www.theverge.com/news/768842/dolby-vision-2-launch-content-intelligence-tone-mapping

The new Dolby Vision 2 HDR standard is probably going to be controversial - Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2025/09/the-new-dolby-vision-2-hdr-standard-is-probably-going-to-be-controversial/

現地時間の2025年9月2日、Dolby Laboratoriesが次世代HDRフォーマットの「Dolby Vision 2」を発表しました。Dolby Vision 2はひとつ前の世代の技術となるDolby Visionよりもパワフルな映像エンジンを搭載しており、Dolby Visionの広範なコンテンツエコシステムを組み合わせることで、テレビの可能性をさらに広げます。


Dolby Vision 2はクリエイティブスイートと視聴者のリビングルームをより良くつなぐための新しいツールとして「コンテンツインテリジェンス」を提供します。これにより、Dolby Vision 2は視聴しているコンテンツと視聴場所に基づき、テレビを忠実かつ自動的に最適化し、より魅力的な映像を実現ことが可能です。コンテンツインテリジェンスにはAI機能も含まれており、デバイスと視聴環境に合わせてコンテンツを最適化することができます。

コンテンツインテリジェンスの事例は以下の通り。

・Precision Black
芸術的な意図を損なうことなく、あらゆる視聴環境で画像を非常に鮮明にし、鮮明度を向上させることで、画像が「暗すぎる」という消費者の不満を軽減します。

・Light Sense
高度な周囲光検出とコンテンツソースからの新しい基準照明データを通じて画質を微調整し、理想的な視聴体験のためにテレビを最適化します。

・スポーツとゲームの最適化
スポーツやゲームの独自のニーズに対応するために特別に設計されたホワイトポイント調整やモーションコントロールなどの新しい機能強化が導入されます。


コンテンツインテリジェンスを基盤とするDolby Vision 2では、最新のテレビの進化を活かした新しいトーンマッピングを導入しています。現代のテレビは、かつてないほど明るく、色彩豊かです。双方向トーンマッピングによりクリエイターはこれらの進化したディスプレイを最大限に活用するための新たなコントロールを利用できるようになります。これにより、高性能テレビは、アーティストの創造的ビジョンを忠実に再現しながら、より高い輝度、よりシャープなコントラスト、そして深みのある彩度といった高い色彩を実現できます。

Dolby Vision 2はDolby Visionの機能をHDRの域を超えて拡張します。これには、ショットごとに不要なジャダー(画面の揺れ)を発生させることなく、よりリアルな映画のような感覚を再現する世界初のクリエイティブ主導型モーションコントロールツール「Authentic Motion」などの機能が含まれます。

なお、Dolby Vision 2には2つのグレードがあり、標準の「Dolby Vision 2」は新しいDolby Image Engineとコンテンツインテリジェンスによって可能になった次世代の中核機能を利用可能です。これに対してハイエンド規格となる「Dolby Vision 2 Max」は最高性能のテレビで最高の画像を提供し、これらのディスプレイの能力を最大限に活用するように設計された追加のプレミアム機能を提供することができます。

HisenseはミニLED搭載のプレミアムテレビラインナップでDolby Vision 2を採用すると発表しており、同技術の採用を発表した最初のテレビブランドとなっています。これに続き、フランスの有料民間テレビ局であるCanal+もDolby Vision 2への対応を発表しました。


なお、テクノロジーメディアのArs TechnicaはDolby Vision 2のモーションコントロールツールであるAuthentic Motionについて、「テレビメーカーはほぼすべてのテレビにモーションスムージング機能を搭載し始めました。この機能は基本的に動画コンテンツのフレームレートを実際よりも高く見せかけることで、24fpsの映像がリフレッシュレート60Hzのテレビにうまくマッピングされない事で発生する可能性のあるジャダーを調整するというものです。多くの一般視聴者はこの機能を愛しています。しかし、映画ファンの多くは『アーティファクトが発生し、映画コンテンツが60fpsのホームビデオのようになってしまう』と同機能を嫌っています。また、多くの映画製作者も芸術的意図を損なうとして、モーションスムージング機能に反対しています。Dolbyは映画製作者がシーンごとにソフトウェアおよびハードウェア機能をいつどの程度活用するかを制御できるようにすることで、上記の問題を解決したと主張しています。しかし、現時点ではどのように機能するかは不明です。既存のモーションスムージングと比べて見た目に意味のある違いが出るのでしょうか?シーンごとに提供する事にどんなメリットがあるのでしょうか?アーティファクトの軽減に何の効果があるのでしょうか?」と指摘しました。

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

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