サブスクの値上がりやストリーミングサービスの抱える制限により映画やドラマのファンによる著作権侵害コンテンツのダウンロードが急増

NetflixやDisney+、Amazonプライム・ビデオなどさまざまな映像ストリーミングサービスがありますが、これらのサービスは軒並み値上げを実施しています。また、配信コンテンツの入れ替わりや購入済みコンテンツが突如視聴できなくなるなどの問題もあるため、映画ファンは海賊版コンテンツのダウンロードに移行しつつあるとThe Guardianが指摘しています。
Can’t pay, won’t pay: impoverished streaming services are driving viewers back to piracy | Piracy | The Guardian
https://www.theguardian.com/film/2025/aug/14/cant-pay-wont-pay-impoverished-streaming-services-are-driving-viewers-back-to-piracy

The Guardianの記者であるガブリエル・V・リンボー氏は、2000年代にTorrentファイルを検索するスウェーデンのインデックスサイトパイレート・ベイのヘビーユーザーでした。当時、音楽や映画など何か欲しいデジタルコンテンツがあれば、パイレート・ベイを使って入手していたそうです。
その後、同じくスウェーデン発の音楽ストリーミングサービスであるSpotifyが誕生し、人気を博すようになります。2011年、ユニバーサルミュージックスウェーデンのマネージングディレクターだったベル・スンディン氏は、「パイレート・ベイがなければ、Spotifyは誕生しなかっただろう」と語り、Spotifyの誕生にはパイレート・ベイが強い影響をおよぼしたことを示唆しました。
さらに、2012年後半にNetflixがスウェーデンでサービスをスタートします。すると、人気の映像コンテンツのほとんどがNetflixで視聴できるようになりました。この頃、パイレート・ベイの創設者3人が逮捕されたそうで、リンボー氏にとって海賊版コンテンツはほとんど過去のものとなったそうです。

それから10年以上が経過した今、この風向きは変わりつつあるとリンボー氏は指摘。
NetflixやDisney+、Amazonのプライム・ビデオなど有料の映像ストリーミングサービスは多数あります。これらのサービスはさまざまな映画やドラマなどの映像コンテンツを取り揃えていますが、視聴可能なコンテンツのラインナップは時間と共に変化し、数カ月前まで視聴できたコンテンツが気付けば視聴できなくなってしまっているというケースが多々あります。
映像コンテンツがプライム・ビデオで配信されていても、見放題になっていない場合、個別でコンテンツを購入しなければいけません。それが1シーズン24話のドラマの場合、コンテンツの購入に多額の費用がかかることは明らかです。
また、映像ストリーミングサービスではコンテンツを購入しても、サービス提供側の都合によりいつでもコンテンツが視聴不可能になってしまう可能性があり、この点も問題視されています。
Amazonプライム・ビデオやiTunesで映画を購入してもいつ視聴不可になってもおかしくないという仕様は詐欺的だという指摘 - GIGAZINE

そもそも、映像ストリーミングサービスが軒並み値上げを実施しているという問題もあります。
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さらに、プライム・ビデオやNetflix、Disney+といった映像ストリーミングサービスは、有料プランであるにもかかわらず広告を導入し、ユーザーの反感を買っています。
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この他、ジオブロッキングなど複数の問題を抱えています。
リンボー氏によると、平均的なヨーロッパの世帯は3つ以上の映像サブスクリプションを契約しており、年間の支出は700ユーロ(約12万円)に到達しているとのこと。
リンボー氏の友人であるという匿名の映画評論家は、「私は海賊版のダウンロードを止めたことがありません。パートナーも探している作品のDVDが見つからない時は、海賊版のコンテンツを利用しています」と語ったそうです。
2024年にスウェーデンで実施されたアンケート調査では、回答者の25%が「海賊版コンテンツを利用した」と回答しています。これは15~24歳の若者によってけん引されている傾向だそうです。

ロンドンに拠点を置く著作権侵害監視企業のMUSOによると、海賊版コンテンツのストリーミング行為は映画やドラマの著作権侵害の主な発生源になりつつあるとのこと。2023年には著作権侵害の96%を海賊版コンテンツのストリーミング行為が占めています。また、海賊版コンテンツの配布サイトの訪問数は2020年に1300億PVだったのが、2024年には2160億PVにまで増加しているそうです。そのためリンボー氏は「著作権侵害は姿を変えて復活しつつある」と指摘しています。
世界最大のPCゲームプラットフォームであるSteamを運営するValveの共同創業者であるゲイブ・ニューウェル氏は、2011年に「海賊版は価格の問題ではなくサービスの問題」と主張。
リンボー氏はニューウェル氏の主張に賛同しており、「現代の映像ストリーミングサービスはタイトルが分散し、価格が上昇し、ブラウザに応じたビットレート制限があるため、一部の視聴者が海賊行為に走るのも不思議ではない」と語っています。
なお、ソーシャル掲示板のHacker Newsでは海賊版コンテンツを視聴する著作権侵害行為について、「膨大な映画、音楽、テレビ番組とったコンテンツにほぼ無制限にアクセス可能になり、企業間の不透明なライセンスに縛られることはない。作品をオリジナルリリース時点で利用可能な最高の解像度・ビットレート・品質で楽しめる。デバイスおよびOSの制限を受けない。十分な帯域幅があれば地球上のどこからでも視聴・ダウンロードできる」といった利点があり、これらの条件を満たすサービスがあれば大金を払ってもいいと主張する人もいました。他にも、海賊版コンテンツの方が断然視聴体験が優れていると主張する人もいます。
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