Googleが電力需要ピーク時や悪天候により電力供給が減少する場合にデータセンターでAIワークロードを削減する「デマンドレスポンス」を実装するべく電力会社2社と合意

Googleは電力需要のピーク時や悪天候などで電力供給が減少するタイミングで、自社のデータセンター上でのAIワークロードを削減する「デマンドレスポンス」と呼ばれる機能を実装すると発表しました。
How we’re making data centers more flexible to benefit power grids
https://blog.google/inside-google/infrastructure/how-were-making-data-centers-more-flexible-to-benefit-power-grids/

Google agrees to pause AI workloads when power demand spikes • The Register
https://www.theregister.com/2025/08/04/google_ai_datacenter_grid/
AIのエネルギー需要を効率的かつ確実に満たすことは、エネルギーシステム全体を近代化するまたとない機会となるとGoogleは説明しています。そのため、Googleは自社で運用するデータセンター群に柔軟な需要対応機能を導入することに取り組んできたそうです。これにより、年間の特定の時間帯や時期に、電力需要をシフトまたは削減することが可能になるとのこと。
この柔軟な電力需要シフト機能はデマンドレスポンスと呼ばれており、特にアメリカをはじめとする世界各地で電力需要の増加が続く中で、いくつかの利点をもたらすことができます。データセンターのような大規模な電力負荷をより迅速に相互接続できるようになり、新たな送電設備や発電所の建設の必要性が軽減されるだけでなく、電力網運用者による電力網のより効果的かつ効率的な管理にも役立ちます。
GoogleはIndiana Michigan Power(I&M)およびテネシー川流域開発公社(TVA)との2つの新しい公益事業契約を結び、機械学習ワークロードをターゲットとしたデータセンターのデマンドレスポンスを初めて提供します。これは2024年のオマハ公共電力局(OPPD)との実証実験の成功に基づくもので、この実験では機械学習ワークロードに関する電力需要を削減することに成功しました。
I&Mのスティーブ・ベイカー社長兼COOは、「インディアナ州フォートウェインにあるGoogleの新しいデータセンターで、デマンドレスポンスを実現するためGoogleと提携できることをうれしく思います。システムに新たな大規模負荷を追加する際は、顧客と連携し、必要な発電・送電リソースを効果的に管理することが不可欠です。不可への対応戦略の一環として負荷柔軟性を活用するGoogleの能力は、顧客の将来のエネルギーニーズを満たす上で非常に貴重なツールとなるでしょう」と語っています。

Googleが最初に開発したデータセンターのデマンドレスポンス機能は、YouTube動画の処理などの緊急性の低いコンピューティングタスクを、電力網の負荷が高い特定の時間帯に削減するというものです。ベルギーのCentrica Energy、送電事業者のElia、台湾の台湾電力との継続的なパートナーシップを通じ、この機能を活用し、年間で最も需要が高まる時間帯において、電力網事業者が電力の信頼性を維持できるよう支援しています。
AIの導入が加速するにつれ、デマンドレスポンスツールキットを拡張し、機械学習ワークロードに特化した機能を開発し、それらを活用して大規模な新規エネルギー負荷を管理する大きな機会が生まれるとGoogleは考えてきたそうです。負荷柔軟性を全体的なエネルギー計画に組み込むことで、発電と送電が制約されている地域であっても、AI主導の成長に対応できるようになります。
データセンターの需要に対する柔軟性はまだ初期段階にあり、特定の拠点でのみ利用可能です。検索やマップといったサービス、そしてヘルスケアといった基幹産業のクラウド顧客にとって高い信頼性は不可欠であるため、特定のデータセンターの柔軟性には限界があります。
機械学習ワークロードの導入は、より大規模な需要への柔軟性を実現し、これらの機能が導入される地域において電力網の信頼性とコスト削減のメリットをもたらすための重要なステップです。I&MやTVAなどの公益事業パートナーと長期的なリソース計画を策定することで、Googleのデータセンターインフラストラクチャーの導入と並行して、将来の電力網開発に柔軟性を組み込むことができます。
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