人類が1世紀以上かけて成し遂げた素晴らしいプロジェクトの例いろいろまとめ

人類が成し遂げた偉大な発見や創造は、ごくわずかな期間で驚異的な誕生をした例もあれば、100年以上かけて解決された問題もあります。量子コンピューティングとオープンサイエンス運動の先駆者である科学者のマイケル・ニールセン氏が、「人類が長い年月をかけて取り組んできた素晴らしいプロジェクト」の例を自身のXとブログでまとめています。
What are some examples of marvellous projects human beings have undertaken that took ~ a century or more?
— Michael Nielsen (@michael_nielsen) February 5, 2020
Slow
https://michaelnotebook.com/slow/index.html
ニールセン氏は、主に科学実験や学問、建築物など、目標思考的なプロジェクトに焦点を当てて、人類が長い年月をかけて取り組んだプロジェクトを紹介しています。
ニールセン氏が有名な例として最初に挙げたのは「フェルマーの最終定理の証明」です。フェルマーの最終定理は、17世紀の数学者ピエール・ド・フェルマーが「真に驚くべき証明を見つけた」と書き残した数式ですが、その証明方法は記録に残っていないため、数百年にわたって証明可能かどうか分かっていませんでした。最終的にイギリスの数学者であるアンドリュー・ワイルズ氏が完全に証明しましたが、証明された1995年はフェルマーの死から330年も経過していました。そのほか、リーマン予想やゴールドバッハ予想など、100年以上たっても解決されていない数学の未解決問題は数多く存在しています。
The proof of Fermat's Last Theorem involves an incredible amount of mathematics over many decades, and in some ways centuries: https://t.co/Nrn3dbCEyN
— Michael Nielsen (@michael_nielsen) February 5, 2020
数学だけではなく、科学実験でも数百年かけて証明されたものがあります。ピッチドロップ実験は、非常に粘性が高くて固体に見えるような物質の総称である「ピッチ」について、「実は非常に粘性が高い液体の性質を持つ」ということが証明された世界最長の科学実験です。実験の記録は1930年から開始されましたが、漏斗に入れられたピッチは極めて高粘度のため、自然に1滴落ちるまで数年から10年以上かかります。最初に1滴落ちたのは1938年で、その後は1滴当たり8~13年のペースが記録されています。
The Pitch Drop Experiment, to demonstrate that pitch is really a liquid which flows, is closing in on 100 years: https://t.co/jHaULytEib
— Michael Nielsen (@michael_nielsen) February 5, 2020
(I used to walk past this every day - my office was in the same building!)
建築に1世紀以上かかった建物としては、パリのノートルダム大聖堂がよく知られています。ノートルダム大聖堂が着工されたのは1163年で、主要部分は1225年の時点で完成して大聖堂として使われ始めていた可能性が高いですが、最終的な建物としての完成は1345年と約200年かかっています。また、サグラダ・ファミリアは1882年に建設開始し、2025年現在も建設中です。主任建築家であるアントニ・ガウディの没後100年となる2026年が完成予定とされていましたが、新型コロナウイルスなどの影響で完成は延期し、塔の中で最も高い「イエスの塔」は2026年に完成する一方で、全体の完成予定は2030年以降となる見込みです。
Many incredible cathedrals, of course. Eg Notre Dame, over 1163–1345: https://t.co/GiH2QDb62O Or the Sagrada Familia, ongoing (!) pic.twitter.com/p5eldrnj5x
— Michael Nielsen (@michael_nielsen) February 5, 2020
2025年の時点ではまだ1世紀に満たないものの、未来に向けて数百年続くプロジェクトとして行われている実験や記録もあります。「ケープグリム大気アーカイブ」は、地球の大気の変化を長期的に観測・記録するために、「空気の保存」を実行しています。最初のサンプルは1978年4月26日に採取され、それ以来定期的に年4~6本のサンプル採取が続けられており、将来的に「この年の大気を分析したい」となった際に使用できるように保管されています。
同じように未来へ向けたプロジェクトとして「ロングナウの時計」があります。ロングナウの時計は、「1万年動き続けること」を目指して設計された大きな機械式時計で、現代社会が「短期的な思考」に偏っていることへの反省から「今をより長いスパンでとらえる」考えを推奨するロングナウ財団によって建設されています。

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in サイエンス, Posted by log1e_dh
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