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Steamが大量のアダルトゲームを削除したのち反ポルノ団体が「小児性愛ゲーマーへの勝利」を宣言、日本のX(旧Twitter)でも「ゲーマー激怒」がトレンド入り


Steamがプラットフォーム上で配布可能なゲームに関するあいまいなルールを追加し、このルールに抵触する大量のアダルトゲームを削除しました。これを受け、ゲームメディアからは批判の声が上がっており、日本のX(旧Twitter)でも「ゲーマー激怒」がトレンド入りする事態となっています。

Steam Has Introduced Confusing New Rules On 'Adult Content'
https://kotaku.com/steam-valve-adult-content-sex-games-online-safety-act-1851786391

Anti-Porn Group Claims Victory In Steam Censoring Sex Games
https://kotaku.com/steam-sex-censorship-hentai-gta-5-collective-shout-1851786636

PCゲームストアのSteam上では、さまざまなアダルトゲームが配信されています。しかし、Steamがゲーム開発者向けに公開している「Steamworksドキュメント」を更新し、大量のアダルトゲームを削除したことが明らかになりました。

SteamはSteamworksドキュメントのルールとガイダンスという項目で、公開すべきではないゲームの特徴として15項目を挙げています。この中には「実在する人物のヌードや露骨な性的画像」や「暗号通貨またはNFTの発行や交換を許可するブロックチェーン技術に基づいて構築されたアプリケーション」が含まれているのですが、2025年7月16日になって「Steamの決済サービス業者、関連カードネットワークや銀行、インターネットネットワークプロバイダーなどによって定められた規則や基準に違反する可能性のあるコンテンツ。 特に、特定の種類の成人指定(アダルトオンリー)コンテンツ」という項目が新しく追加されました。これはイギリスでまもなく施行されるオンライン安全法を踏まえたものであると目されています。

Steamworksドキュメントのルールとガイダンスに新しい項目が追加されたタイミングで、数百件のアダルトゲームがSteam上から削除されていることも明らかになりました。特に多く削除されているのが、「近親相姦」「レイプ」「奴隷」といったテーマのアダルトゲームであるとゲームメディアのKotakuは指摘しています。


Steamは「適切なラベルと年齢制限のないアダルトコンテンツ」の配布を禁止していますが、ルールとガイダンスを守ればいかなるアダルトゲームであってもルールの範囲内で配布することが可能です。それにもかかわらず、「Steamの決済処理業者、関連するクレジットカードネットワーク、銀行、インターネットネットワークプロバイダーが定める規則および基準に違反する可能性のあるコンテンツ。特に、特定種類の成人コンテンツ」の配布を禁止するという非常にあいまいなルールが生まれたことについて、Kotakuは「誰がこのあいまいなルールを正しく理解できるのでしょうか?MastercardやT-Mobileにメールを送ってセックスをテーマにしたパズルゲームに満足するかどうか確認しろということでしょうか?特定の種類の成人コンテンツとは一体何でしょうか?」と指摘しています。

Steamが大量のアダルトゲームを削除したことを受け、オーストラリアを拠点に活動する反ポルノ団体・Collective Shoutの共同創設者であり作家のメリンダ・タンカード・ライスト氏は、アダルトゲーマーに対する勝利を宣言しました。勝利宣言の一部を抜粋したポストが以下です。

「レイプ、近親相姦、女性や子どもへの拷問をロールプレイできる数百の性暴力ゲームが、世界的なゲームプラットフォームであるSteamから突然削除されました」


「子どもの安全を訴える活動家たちの勝利です。Steamはオーストラリアを拠点とするCollective ShoutがVisa、PayPal、Mastercardといった決済プラットフォームが暴力的なポルノから利益を得ていると非難したあと、該当するゲームを削除しました」


「Steamはプラットフォームの利用規約を更新した後、ほとんどのゲームをプラットフォームから排除しました。この更新では、Steamの支払い処理業者や関連するカードネットワーク、銀行、またはインターネットネットワークプロバイダーが定めるルールや基準に違反する可能性のあるコンテンツ、特に成人向けの特定のコンテンツの公開を禁止しています」


「Collective Shoutは、オンライン上のトロールたちがオーストラリアの女性や子どもに対する『性的搾取』に反対するキャンペーンを行っている女性たちに対して、殺害、強姦、個人情報暴露の脅迫を含む大量の罵倒を浴びせた時に、初めてその勝利を理解しました」


「これらのポルノに病んだゲーマーたちが女性や子どもの性的拷問に興奮する権利を擁護するという事実は、私たちについてよりも彼ら自身について多くを物語っています」


「これは大きな勝利です。Steamに追加された新しい利用規約を歓迎します。また、決済ゲートウェイからの企業の社会的責任の表明も歓迎します」


「決済プラットフォームはSteamがレイプ、性的拷問、近親相姦、児童性的虐待をテーマにしたゲームをホストすることで、ブランドが損なわれているという事態を認識しました。私たちは、女性や子どもに対するゲーム化された暴力に関する広範な懸念に対応してくれたことに感謝します」


Collective Shoutは「Detroit: Become Human」や「グランド・セフト・オートV」といったメジャータイトルに対してもシナリオや描写が女性にとって有害であるとして、配信プラットフォームでの販売停止を求めてきた団体です。

この団体は2025年7月11日に、「Steamのレイプ、近親相姦、児童虐待ゲームで利益を上げている決済代行業者への公開書簡」を投稿していました。公開書簡の全文は以下からチェックできるようになっており、公開書簡の宛先には日本発のクレジットカード会社であるJCBも記載されています。

Open letter to payment processors profiting from rape, incest + child abuse games on Steam - Collective Shout
https://www.collectiveshout.org/open-letter-to-payment-processors


Collective Shoutによるメジャータイトルに対する規制の試みは失敗に終わったものの、OnlyFansのようなクリエイタープラットフォーム上でポルノの取り締まりを強化している決済処理会社に圧力をかけることで、同団体はより広範なゲーム規制を実現することに成功しているとKotakuは指摘しています。

Steamの運営会社であるValveは、ゲームメディアのEurogamer.netに対して、「最近、Steam上の特定ゲームが当社の決済処理業者および関連するカードネットワークや銀行が定めた規則と基準に違反する可能性があるという通知を受けました。そのため、これらのゲームをSteam上で販売停止にします。決済手段がなくなると、お客様がSteamで他のゲームを購入することができなくなるためです」という声明を出しています。

なお、決済プラットフォームに圧力をかけることで、プラットフォームが取り扱うアダルトコンテンツを規制しようとする試みはこれまでにも複数のプラットフォームを苦しめてきました。

アダルト動画配信サイトとして世界最大手のPornhubは、MastercardやVisaといったクレジットカードサービスが利用できなくなったことで苦境に立たされています。Pornhubがクレジットカード会社からの圧力で徐々にサービスを規制していった様子は、以下の記事にまとめてあります。

アダルト産業を実質的に規制しているのは政府や国際条約ではなく「クレジットカード会社」だという指摘 - GIGAZINE


同様にクレジットカード会社や銀行からの圧力により、「ポルノの直売所」とまで呼ばれたOnlyFansでも性的コンテンツの一部規制が行われるようになりました。後に、OnlyFansのCEOが性的コンテンツを規制する理由を「一部の銀行がクリエイターへの送金を停止したため」と明かしていますが、最終的に性的コンテンツの規制は撤廃されました

「ポルノの直売所」とまで呼ばれたSNS「OnlyFans」が性的コンテンツの規制に踏み切る、「Pornhub事件」の再来か - GIGAZINE


なお、ライスト氏はSteamが大量のアダルトゲームを削除したことに憤慨する人々を「ポルノ中毒で脳が腐った小児性愛者ゲーマーフェチスト」と罵倒しています。

・つづき
Steamから姿を消したゲームをまとめたリスト「Steam Banned and Removed Games」 - GIGAZINE

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in ゲーム, Posted by logu_ii

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