日本人作のボードゲームとして初のドイツ年間ゲーム大賞受賞「ボムバスターズ」レビュー、協力型の爆弾解除でシンプルながら奥深い推理が味わえる名作

林尚志さんがデザインしたボードゲーム「ボムバスターズ」はプレイヤー全員が爆弾処理の専門家としてチームを組んで爆弾解除を目指す協力型のボードゲームで、2025年度のドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)を日本人が制作したゲームとして初めて受賞し、大きく話題となりました。この「ボムバスターズ」の日本語版をパブリッシャーのEngamesから提供してもらったので、実際にGIGAZINE編集部員4人で遊んで確かめてみました。
ゲーム紹介:ボムバスターズ|Engames
https://note.com/engames/n/nc6401b5ffb0f
◆内容物をチェック
ボムバスターズのパッケージはこんな感じ。ゲームデザインはokazubrandの林尚志さん、イラストレーションはDominique Ferlandさんが担当しています。

プレイ人数は2~5人、プレイ時間は30分、対象年齢は12歳以上を想定。

ルール説明書とメインボード

各種トークンは厚紙製です。

厚紙には切れ目が入っており、カッターやハサミがなくても簡単に取り外すことができます。

コードタイルは、青コードが48枚。

赤コードが11本。

黄コードが11本。

情報トークンが26枚。

=トークンと、≠トークン。

プラスチック製の留め具。

この留め具は、ボードのメーターに黒いダイヤルを固定するのに使います。

ミッションカードが8枚。

サプライズボックスが5箱。このサプライズボックスには追加のミッションカードやトークンなどが入っており、プレイする時に開けます。

装備カードが12枚。

そして、キャラクターカードが5枚。

木製のマーカーは、黄色が4つ、赤色が3つ。

確定トークンは12枚。

ボムバスターズ駒が1つ。この駒はとあるミッションで使うとのこと。

タイルスタンドが5つ。

◆ゲームの準備
今回は編集部員4人でプレイしました。まずは4人のうち、スタートプレイヤーとなる「隊長」を1人選び、隊長のキャラクターカードを受け取ります。残りの3人は、任意のキャラクターカードを1枚ずつ選択します。

ボードゲーム下部に、情報トークンと確定トークンを配置。

メーターのダイヤルを、プレイヤー人数に合わせます。今回は4人でプレイするので、以下の位置にダイヤルを合わせました。

続いて、隊長がミッションカードを手に取り、そこに書いてあるミッション内容を読み上げます。サプライズボックスに入っていない初期ミッションカードは全部で8枚あり、ルール説明書には「ミッションを順番にプレイする必要はありません(しかし、そうすることを強く推奨します! )」と書かれていたので、今回は「訓練 1日目」のカードからスタート。

読み上げたミッションカードは裏を向けて、以下のようにボードの左下に配置します。

次に、コードタイルを用意します。青コードのタイルは1~12の数字が各4枚ずつあり、今回の「訓練 1日目」では、今回は最初の訓練ということで1~6の青コードタイルだけを使用します。

青コードタイルは裏返してシャッフルし、隊長から時計回りに1枚ずつ手元に取ります。なお、机の上で青コードタイルをシャッフルするのは難しいので、中が見えない布の袋を別途用意して、その中に青コードタイルを入れてよく振り、袋から1枚ずつ引いていく方式がやりやすいと感じました。

手元に取ってきたコードタイルを、タイルスタンドに並べます。この時、数字を自分にだけ見えるようにし、左から小さい順に並べる必要があります。

次に、情報トークンをボードから1枚ずつ取ります。

情報トークンは、自分の手元にある同じ数字のタイルの前に置きます。例えば以下の画像だと、赤枠で囲んだタイルは4であることが、他のプレイヤーからは一目瞭然。さらに、数字の大きさの順にタイルが並べられているので、他のプレイヤーからは「赤枠の左側は4以上、赤枠の右側は4以下」ということがわかります。つまり、情報トークンは自分のタイルの数字を相手に予想させるための貴重な情報源になるというわけです。

準備完了したらこんな感じ。「相手の手札をしっかり見る」というゲームシステムなので、プレイ時のスペースはだいたい縦横80cm程度の広さでも十分だと感じました。

◆4人ゲームをプレイ
ゲームのルールは非常にシンプルで、相手の手札にあるタイルの数字を言い当てることでタイルを公開し、すべてのプレイヤーがタイルを公開したらゲームクリア。
手番は隊長から時計回りに進めます。プレイヤーは自分の手番に、「2人でコードを切断する」「1人でコードを切断する」のどちらかを実行できます。「2人でコードを切断する」は、「自分の手札にある数字」が自分以外の手札にあると思ったら、その手札を指定して数字を推測します。正解すれば、言い当てられたプレイヤーはそのタイルを公開します。
例えば、あるプレイヤーが別のプレイヤーのタイルを指差して「4!」と宣言。このタイルの前には「4」の情報トークンが置かれているので、確実に4であることがわかります。

指摘されたプレイヤーは、「4」のタイルを公開。

そして、指摘したプレイヤー側も自分の手札から「4」のタイルを公開します。これで「4のコードが2本切れた」ことになるわけです。

しかし、指摘が間違っていた場合、指摘されたプレイヤーは「違います」と答えて、指し示されたコードの外側に情報トークンを置いて、そのコードの本当の数値を示します。

さらに失敗した場合はボードのダイヤルを1つ時計回りに進めます。

ダイヤルが一番右のドクロが描かれた部分まで進んでしまうと爆弾解除失敗、つまりゲームオーバーになります。

コードタイルは1つの数字につき、4本あります。すでに4本のうち2本切れていて、なおかつ自分が残り2本のコードタイルを持っていた場合、プレイヤーは自分の手番でその2本を切ることができます。これが、「1人でコードを切断する」ケースになります。以下は、「3」のコードタイルがすでに2本切れており、残り2本の「3」を手札に抱えていたプレイヤーが自分の手番で切ったところ。

これで、「3」のコードタイル4本はすべて切れたことになります。「3」のコードの解除が確定したということで、ボードにある「3」のマスに確定トークンを配置します。

大事なのは、解除されていないコードの残り本数と、相手から見えているコードの位置関係。例えば、以下は「1・1・2・4・6」と並んでいる手札で、このうち「4」だけが相手に公開されている状態。相手からは「4」の横にある3枚は4以下であることがわかりますが、具体的に何の数字なのかはわかりません。ただし、この時点で「3」のコードがすべて切れていたので、少なくとも1か2か4であることが判断できます。こんな感じで、相手の手札で公開されているコードタイルの位置を、自分の手札や場の状況と照らし合せながら推理していく必要があります。

ゲーム中は「数値を暗示したり、以前の手番の情報を思い出させたり、自分の推測を共有したり、仮定を声に出したりして、誰かの手札のコードについて話すこと」が禁止されています。そのため、具体的な数字については一切相談ができず、自分の頭の中で推理をめぐらせる必要があります。ただし、全般的な戦術、装備の使用、特殊ルールについて話し合うこと、「フツーノ探知機」や他の装備を使用するようアドバイスすることはいつでも可能。たとえば、各プレイヤーに配られているキャラクターカードには「フツーノ探知機」というアイテムが描かれています。

この「フツーノ探知機」は自分の手番で宣言することで使うことができます。ただし、使えるのは基本的にゲーム中に1回きり。

通常だと相手のコードは1つだけしか指定できませんが、「フツーノ探知機」を使うと2つ同時に指定できます。例えば、以下は3以下であることがわかっている2枚に「2!」と指摘した場面。指摘した2枚のうちどちらかが合っていれば正解と見なされるため、通常よりも外してしまうリスクはグッと減ります。

そんな感じでお互いの手札を言い当てながら、すべてのコードを解除したらゲームクリア。訓練1日目ということもあり、ルールを確認しながらでしたが、だいたい20分くらいでさくっとクリアできました。プレイした編集部員も「もう完全に爆弾解除がわかってきた」「これだけなら楽勝でしょ」と余裕しゃくしゃくのコメント。

訓練2日目には、黄コードが加わります。黄コードは1.1~11.1の11本あり、ランダムに2本を選び、青コードタイルに混ぜてシャッフルします。黄コードタイルは中途半端な数字になっており、例えば「3.1」の黄コードタイルは、「3」の青コードタイルの隣に置かれることとなります。

混ぜられた黄コードの大きさは、以下のようにマーカーを置いて示しておきます。

黄コードは「2人でコード切断」か「1人でコード切断」で解除できます。「2人でコード切断」の場合は、黄コードを持っているプレイヤーが、他のプレイヤーが持っている黄コードを指定しなければなりません。また、「1人でコード切断」の場合は、黄コード2本を自分の手元に持っている必要があります。ゲームをクリアするためには「すべてのコードをクリア」する必要があるので、より解除の難しい黄コードを誰がどこに抱えているかを把握する必要があります。

訓練3日目では、赤コードが追加されました。赤コードは、間違って指定してしまうと一発でゲームオーバーになります。

赤コードもコードタイルに混ぜられ、コードの数字がマーカーで示されます。

基本的に赤コードは解除できません。そのため、プレイヤーは赤コードを確実に避ける必要があります。赤コードを持っているプレイヤーの手札が、赤コード以外すべて解除された時、そのプレイヤーは初めて赤コードを公開し、ゲームへの参加を終了します。つまり、赤コード以外をすべて切断するしか生き残る方法はないというわけです。

訓練3日目では、赤コードと同時に、装備カードも解禁されました。装備カードは「フツーノ探知機」のように、特殊な効果によって爆弾解除をより簡単にしてくれるツール。12枚ある装備カードをシャッフルし、プレイ人数と同じ枚数を以下のようにボードに並べます。ただし、装備カードは最初から使えるわけではありません。

例えば、以下の「スーパー探知機」は、左上に「5」の数字が描かれています。このスーパー探知機を使えるようにするためには、「5」のコードを少なくとも2本切断する必要があります。コードを切断して使用可能になったら、以下のようにカードを上にずらし、チェックマークを表示させます。

このスーパー探知機は、相手の手札すべてを対象に指摘ができるという超強力なアイテム。

使ったら裏返しておきます。一度使ったらまず復活できないので、使いたい時は他のプレイヤーにしっかりと相談するべき。

訓練のミッションを1日目から順番にこなしていくと、段階的にルールが理解できる仕組み。訓練3日目で基本のルールはすべて把握できるので、ここで一気にミッション8に進められるとのことで、今度はミッション8をやってみることにします。

ミッション8は「最終試験」とのことで、基本ルールでもこれまでより難しめの設定となっています。コードタイルは、青コードタイル48本すべてにくわえ、「赤コードタイル2本のうち1本、黄コード3本のうち2本」となっています。

準備段階では赤コードを2本、黄コードを3本引くのですが、シャッフル時に青コードタイルに混ぜるのはそのうち赤コード1本と黄コード2本だけ。

つまり、準備段階でマーカーを置いた赤コードタイルと黄コードタイルが、必ずしも手札にまぎれているとは限らないというのがミソ。青コードタイルの中にどの赤コードタイルと黄コードタイルが混ざっているのかを、相手の手札を見ながら推理する必要があります。

さらに、コードの数もめちゃくちゃ増加。

とにかくわからないコードタイルの数に対して、最初に開示される情報が少なくなってしまうので、失敗も覚悟しながら仲間に情報を明らかにしていく必要があります。

もちろん装備カードをうまく使いこなしていくことも求められます。例えば以下の「イレカエシーバー」は、2人のプレイヤーが自分の手札を交換できるというもの。

交換するコードタイルは以下のように伏せた状態で、相手に渡します。この時、どのコードタイルを手札のどの位置から抜いたのかは全員に開示されます。

そして、お互いに交換したコードタイルを自分の手札に加えます。ここで、交換したコードタイルをどこに入れたのかという情報も、相手の手札を推理するための重要な手がかりになります。

また、キャラクターカードの「フツーノ探知機」は通常使用してしまうと二度と使えないのですが、この「非常電池」は最大2枚まで再度使用可能にするという強力なアイテム。このカードは7のコードを2本切断すると使えるようになるため、「どのタイミングで7を切断して、『非常電池』を使えるようにするか」を仲間と一緒に考える必要があります。ただし、具体的な数字は言えないので「ここは『非常電池』を使えるようにしたいよね」というように戦略を立てていくことに。

そして、この戦略が見事に機能し、終盤に「フツーノ探知機」を復活させたことで、見事最後のコードを切断することに成功しました。

「ボムバスターズ」のルールはシンプルで、基本は「相手の手札を読んで言い当てる」というもの。ボードゲームを遊び慣れていない人でもすぐに理解でき、遊ぶことができます。協力して推理するゲームなので、仲間に自分の手札の数字を当てさせたいのですが、具体的な数字を言うのはNG。そのため、情報トークンを置く位置や自分の切断するコードの位置など、手札の中でどのコードタイルがどの位置にあるのか、そしてどれを公開するのかが非常に重要。「自分の手札が他人からどう見えるのか」を考える必要があり、シンプルでありながら非常に奥が深いゲームとなっています。

ミッションは最初の8ミッションを含め、全部で66種類存在します。そのため、さまざまなルールで遊ぶことが可能で、拡張性はかなり広くなっています。1ミッションのプレイはだいたい20分~30分くらいですが、歯ごたえはかなりあり、リプレイ性も高く、プレイ後の感想戦も盛り上がり、満足感はかなり高いと感じました。
ボムバスターズは定価6050円。Amazon.co.jpでも取り扱われていますが、記事作成時点では在庫切れとなっていました。
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in レビュー, ゲーム, Posted by log1i_yk
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