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「商品は返却不要」の返品制度がショッピングサイトのブランド力を高めているとの調査結果


ショッピングサイトなどで購入した商品の返品処理をすると、たまに「商品はそのままお使いください」と言われることがあります。こうした返品制度を採用したショッピングサイトは、他よりもユーザーからの支持が厚く、長く使われやすいことが調査により明らかになりました。

EXPRESS: Just Keep It: When and Why Returnless Product Returns Foster Brand Support - JOHN P. COSTELLO, CHRISTOPHER J. BECHLER, 2025
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00222437251337723

'Returnless returns' boost brands among consumers
https://phys.org/news/2025-06-returnless-boost-brands-consumers.html


小売業者が「返品不要」とする理由は、商品を再販売して得られる収益では返品処理に関するコストを賄いきれないことが多いためです。その結果、一部のショッピングサイトではユーザーからの返金処理に「全額返金+返却不要」の対応を取っています。

調査によると、消費者はオンラインで購入した商品の実に5件に1件を返品しているとのことで、小売業者にとって返品に関連する処理は大きな課題となりつつあるといいます。

500人を超える小売業者の経営者を対象とした2023年の調査では、このように増加しつつある返品処理に対応するため、59%が返品不要の制度を採用していることがわかりました。この割合は、前年比の26%から大きく上昇しました。


こうした返品制度は、小売業者のコストを最低限に抑えるだけでなく、小売業者のブランド力を強化する効果があることもわかりました。

ノートルダム大学のジョン・コステロ氏らがまとめた複数の調査によると、返品不要の対応を経験した消費者は、商品を返却するよう言われた場合と比較して、返品不要の小売業者を高く評価し、肯定的な口コミを共有する可能性が高かったとのこと。


こうした傾向は、商品に不具合があったかどうかなど返品の要件に合致するか否かを証明する必要がなく、消費者にとって一般化された対応ではなく消費者個人に合った特別な対応だと感じさせるような、限りなく消費者にとって都合のいい状況で最も強まることがわかりました。

たとえば、「当社の主な目標は顧客の生活をより良いものにするということです。この点を踏まえ、返金を受けるために商品を返却する必要はありません。私たちは皆様に感謝し、このプロセスをできるだけスムーズでポジティブな体験にしたいと思いますので、商品についてはご自由に処分してください」といったメールを受け取った場合などに、消費者は喜びを感じるそうです。


さらに、返品制度を通じて得られた肯定的な体験は、消費者が製品に満足して返品しなかった場合よりも大きい場合があることも判明しています。

消費者の心理は、返品不要で返金も受けた場合と、返品不要で代替品を受け取った場合の両方で同様に働き、小売業者のブランドに「温かみ」を感じる傾向にありました。

コステロ氏は「今回の研究に基づくと、実はケースバイケースで返品不要の対応を取ることが効果的である可能性が高いと言えます。消費者は、特別な対応を受けたときや、自動メールではなく人間とのやり取りを受けたときに肯定的な感情を抱くため、『人間味のある対応』を取ることが有益だということです」と述べました。

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