自閉症の子どもたちの歩き方に特徴が現れるのはなぜか?どんな支援が有効なのか?

自閉症の人は「歩き方」に違いが現れることがあり、自閉症の診断を補助するために歩き方の観察結果が使われることもあります。そんな自閉症と歩き方の関係について、モナシュ大学で神経発達障害について研究するニコル・ラインハート教授らが解説しています。
Why do some autistic people walk differently?
https://theconversation.com/why-do-some-autistic-people-walk-differently-231685
ラインハート教授によると、自閉症の人は以下のような歩き方をすることが多いとのこと。
・つま先歩行。足の指の付け根部分で歩く。
・内旋歩行。片方もしくは両方の足を内側に向けて歩く。
・外旋歩行。片方もしくは両方の足を外側に向けて歩く。
さらに、これまでの研究によって、以下のような特徴があることも明らかになっています。
・かなりゆっくり歩く。
・大股で歩く。
・足が地面から離れている時間が長い。
・一歩一歩に時間がかかる。
自閉症に特徴的な歩き方には、脳の「大脳基底核」と「小脳」が影響しています。大脳基底核は姿勢の変化を含めた「動作の順序づけ」を処理する役割を担っており、滑らかな歩行の実現に大きく関係しています。小脳は視覚情報と体の位置や動きの情報を処理して動作のタイミングを決定しており、姿勢の安定性に関わっています。これらの機能に問題が生じると、歩行がギクシャクしたものになるというわけです。

また、歩き方には脳だけでなく「運動能力」「言語能力」「認知能力」などの要因も関係しており、自閉症の人の中でも歩き方には差異があります。
ラインハート教授によると、たとえ特徴的な歩き方をしていたとしても、日常生活への参加能力に影響がない場合は支援は不要です。一方で、以下のような問題を抱えている場合は適切な支援が必要です。
・転倒リスクの増加、もしくは転倒頻度の増加。
・好きな身体活動への参加が困難になる。
・アキレス腱やふくらはぎの筋肉の緊張。
・足や背中の痛みなどの身体的影響。
支援内容は多岐に渡りますが、病院での措置が必須なわけではありません。例えば、ラインハート教授が開発した「Joy of Moving Program」では教室で仲間と一緒に体を動かすことで運動能力を発達させることができます。こういった支援方法は、学校で多くの時間を過ごす子どもたちに適しているといえます。また、ラインハート教授が関わった研究ではスポーツやダンスといった集団活動に参加することで自閉症の子どもの運動能力が向上する可能性が示されています。
Joy of moving program in Australia - Psychological Sciences
https://www.monash.edu/medicine/psych/research/neurodevelopment/allplay-child-and-family-program/joy-of-moving-program-in-australia

ラインハート教授は今後も研究を続け、子どもたちの発達段階に合わせた支援方法の模索を続けるとのことです。
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in サイエンス, Posted by log1o_hf
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