街路樹は暑さ対策に有効だが砂漠では事情が異なる

暑い日に街路樹の日陰に入ると涼しく感じます。しかし、砂漠に囲まれた地域では状況が異なるようで、アメリカの砂漠研究所(DRI)に所属する研究チームが砂漠地帯における街路樹の効果を分析して論文にまとめました。
Effectiveness of street trees in reducing air temperature and outdoor heat exposure in Las Vegas - IOPscience
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2752-5295/ade17d
A New, Detailed Analysis of the Benefits and Trade-offs of Urban Street Trees in Las Vegas - DRI
https://www.dri.edu/a-new-detailed-analysis-of-the-benefits-and-trade-offs-of-urban-street-trees-in-las-vegas/

街路樹などの植物には日陰を作り出す効果のほかに「葉から水蒸気を放出(蒸散)する際に周囲の熱を奪うことで気温を下げる」という効果があります。植物を用いた気温低下は日本のような水の豊富な地域ではかなり有効で、窓の外側でゴーヤやアサガオなどの植物を育てて冷却効果を得る「緑のカーテン(グリーンカーテン)」を取り入れる家庭も増えています。
しかし、砂漠地帯では「自然の水場から離れたエリアに自生する植物が少ない」という問題や「貴重な水を節約しながら植物を育てる必要がある」といった課題が存在しています。そこで、砂漠研究所の研究チームは街路樹による冷却効果が砂漠でも有効なのか否かをコンピューターシミュレーションを用いて分析しました。
研究チームはシミュレーション対象エリアとしてラスベガスを選択しました。ラスベガスには「カジノのあるリゾート地」というイメージを持っている人も多いですが、ラスベガス周辺の衛星写真をGoogleマップで確認すると広大なモハーヴェ砂漠に囲まれていることが分かります。
ラスベガスの各地に種類の異なる街路樹を植えた際の気温への影響を計算した結果、街路樹を植えることで夜間の気温を1度下げられることが明らかになりました。一方で、日中は気温がほとんど下がらないことも判明。また、チェリーはオークと比べて3倍の冷却効果を備えているものの、必要な水も3倍に増えることも分かりました。
研究チームの一員であるフアン・ヘオナ氏は「樹木は大きな日陰を提供し、炭素貯蔵にも役立ちます。しかし、空気を冷やすには十分な水が必要となります。ラスベガスのような暑く乾燥した都市では街路樹のトレードオフを認識した上で植栽に適した樹種を特定する必要があります」とコメントしています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf
You can read the machine translated English article Street trees are effective in combating ….