氷河の融解が世界各地で「火山噴火」を引き起こす可能性がある

地球温暖化の進行によって引き起こされている問題の1つが、高山や高緯度地域に存在する氷河の融解です。氷河が解けることで生じる問題には海面上昇などがありますが、チリ南部にある火山と氷河を調べた新たな研究では、「氷河の融解によって世界各地で火山噴火が引き起こされる可能性がある」と判明しました。
Melting glaciers could trigger more explosive eruptions globally, finds research | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1089948

Melting glaciers could trigger volcanic eruptions around the globe, study finds | Live Science
https://www.livescience.com/planet-earth/volcanos/melting-glaciers-could-trigger-volcanic-eruptions-around-the-globe-study-finds
氷河の融解が火山活動に影響を与えるという理論は、1970年代から提唱されていました。その根底にあるプロセスは、「氷河の重みは常時地殻とマントルに下向きの力を働かせており、氷河が後退するとその重みがなくなって地下のガスとマグマが膨張し、圧力が高まって爆発的な噴火を起こす」という単純なものです。
2002年の研究では、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境目にあるアイスランドの氷河後退と火山活動の変化を調べました。その結果、約1万年前の最終氷期末に氷河が後退すると、それ以前と比べて火山噴火の頻度が30~50倍も高まったことが示されました。
しかし、大陸の火山系における氷河と火山の関係についてはまだ十分に研究されていません。そこで、アメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校の大学院生であるパブロ・モレノ・イェーガー氏らの研究チームは、チリ南部にあるモチョ・チョシュエンコ火山を含む6つの火山を対象に、数千年前に起きたパタゴニア氷床の融解と火山の反応を調べました。

研究チームは、火山噴火によって放出されるアルゴンの放射性崩壊を一種の時計として利用すると共に、噴火によって溶岩内部で形成された結晶を研究することで、火山活動と氷河融解の関連を追跡したとのこと。
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