物語のプロットはストーリーを整理するだけではなく「爆弾を投げる」アプローチが効果的

物語を作る際の技法の1つであるプロットは、物語のあらすじや設定、展開のきっかけとオチをまとめて書きだすなどして、実際にストーリーを作る際の設計図として用いるものです。プロットはアイデアの整理や物語を整えるのに役立ちますが、あえてプロットを崩すような「爆弾」をプロットに配置することで物語に深みや面白さを増すテクニックについて、作家でサンフランシスコ州立大学クリエイティブ・ライティング科の名誉教授でもあるマシュー・クラーク・デイヴィソン氏が解説しています。
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プロットは、物語の設計図としてアイデアをまとめることで、物語全体に一貫性を持たせたり、面白い点を際立たせる伏線をちりばめやすくしたりする効果があります。キャラクター主導の物語でプロットは作品のクオリティを上げることができる価値のある目標と見なされているほか、さらに物語のクオリティを上げるための「サブプロット」や「プロットフィラメント」という補助的なプロットも技法としてあります。一方で、一部の文学界や学術界では「プロット主導の小説は時代遅れで、立体感のない二次元的な作品になる」と考える人もいます。
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プロットが最も効果的に生きるのは物語の「構造」を捉えるときです。「後半に向かって上昇していき、クライマックスを迎えたら下降して解決に落ち着く」という「フライティッヒの三角形」や、「良質な物語は折れ線グラフに起こすことができる」という研究など、魅力的な物語には一定の構造があると言われることがあり、プロットで物語全体を整理することでそのような構造を管理しやすくなります。
デイヴィソン氏は構造を捉えるよりもさらに魅力的で、驚くべき結果をもたらすプロットのアプローチとして、「爆弾を投げる」という手法を提案しています。

デイヴィソン氏は「爆弾を投げる」という手法を2つのカテゴリに分けています。一つは「外部爆弾」で、登場人物のコントロールを超えた驚くべき出来事を指します。天災や見知らぬ人物の登場、物語の主目的を阻止する外敵など、突如として物語を完全に混乱させるような存在です。
もう一つが「内部爆弾」で、キャラクターが持つ性質によって招き寄せる予期せぬ出来事の連鎖を指します。「実はこのキャラは生来の苦手により○○ができない」「この2人は強い因縁が隠されており和解が難しい」など、キャラクターの未知の側面に起因する出来事によって、物語に困難が発生します。
外部爆弾と内部爆弾はどちらも、作家自身にとって「次に何が起こるのかまったく予想できない」という特徴があります。プロット主導で作る物語は、構造が整理されてまとまりがよくなる一方で、整いすぎていて予測がしやすくなるため、「立体感のない二次元的な作品になる」と批判されることもあります。「爆弾を投げる」アプローチは、決まり切ったお決まりの構造を崩すようなアイデアを追加することで、キャラクターやテーマ、物語の状況を、驚きと説得力のある方法で変化させるために役立ちます。

そのほかのプロット技法として、「ウソ」をプロットに折り込むテクニックをデイヴィソン氏は提案しています。物語をプロットで整理する上で、全体的なテーマに大きなトリックがある場合などを除くと、ウソや隠し事は整理されたプロットに出てきません。しかし、ちょっとしたウソや隠し事、特定のキャラクターが勘違いを誘発させるようにする動きなど、物語の展開に微妙に影響を与えるような要素があると、キャラクターそれぞれの思考や言葉を考えるきっかけにもなり、物語や人物関係に深みが生まれるとのこと。
デイヴィソン氏は「ポイントは、従来の物語に見られるような、ありきたりな構図に頼る必要はないということです。特に、『この先どう物語が動くのか?』とプロットの構築に行き詰まったときは、爆弾を投げたり登場人物の意図や感情の動きをプロットに折り込んだりすることで、読者を喜ばせながら、作家自身も驚くような展開を得られることがあります。作家自身も驚くというのが非常に重要です」とアドバイスしています。
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in メモ, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article The plot of a story is not just about or….