サイエンス

自己免疫疾患はなぜ起きてしまうのか?そして何が起きるのか?


自己免疫疾患とは、体を守るための免疫システムが、自分自身の健康な細胞や組織を誤って侵略者とみなして攻撃してしまう状態です。これにより、多発性硬化症セリアック病全身性エリテマトーデスクローン病などといった様々な病気が引き起こされます。この自己免疫疾患はどういう理由で発生するのか、そしてどんなことが起こってしまうのかについて、科学系チャンネルのKurzgesagtが解説しています。

When YOU Become Your Enemy - Autoimmune Disease Explained - YouTube


自己免疫疾患が発症するのは遺伝的なリスクだけが原因ではなく、それに加えて大きな不運が引き起こします。


生命の基本的な構成要素はタンパク質です。タンパク質は非常に複雑な形状をしており、その形に基づいて食べ物を分解したりDNAを転写したり特定の化学反応を促進したりと、専門的なタスクを実行します。


人間の体は自分のものではないタンパク質をやっつける機能を持っています。しかし、時として自分の細胞やタンパク質を攻撃してしまうエラーが発生します。これが自己免疫と呼ばれる反応ですが、体内には自己免疫を起こすような免疫細胞を排除する仕組みがあります。


しかし、ごくまれにこの仕組みをすり抜けてしまう免疫細胞が存在します。


また、一部の細菌やウイルスは、私たちの体のものと非常によく似たタンパク質を進化させるものもいます。


「自己免疫を起こし得る免疫細胞」と「一部の細菌やウイルス」、そして風邪などの病気や小さな傷といった免疫を活性化させる何らかの出来事が、自己免疫反応を引き起こすきっかけとなります。


もし自己免疫を起こし得る免疫細胞が誤って自己の組織を敵と認識して活性化してしまうと、その細胞が増殖し、自己組織への全面的な攻撃を開始してしまいます。


自己免疫疾患は100種類以上あり、それぞれが体の異なる部分を攻撃します。


例えば多発性硬化症は、神経細胞の保護膜が自己免疫によって攻撃され、神経細胞の接続が切れてしまったり、その働きが著しく低下したりしてしまうことによって起こります。


全身性エリテマトーデスは文字通り体全体が自己免疫によって攻撃を受けて悪化する病気で、痛みを引き起こすだけでなく、予測不可能なレベルで広範囲の機能不全を引き起こしかねません。


また、自己免疫疾患にはひどい疲労と虚弱が伴います。これは病気になると免疫システムが体に活動を停止して休むように指示するからです。


自己免疫疾患のやっかいなところは、病状進行を止めることが非常に難しいところ。最初に自己免疫細胞が遭遇する「敵」の数が増えるほど、その自己免疫細胞はより多くの細胞を複製し、活性化してしまいます。


こういった自己免疫疾患の発生リスクは遺伝で左右されるといわれますが、本来であればこうしたリスクを持つ遺伝子は自然淘汰されそうなもの。


しかし、過去の研究で、かつてヨーロッパを黒死病(ペスト)の大流行が襲った時に、自己免疫疾患のひとつであるクローン病のリスクを高める遺伝子変異を持つ人は死亡率が低かったことがわかりました。


衛生状態や医療の進歩によって感染症の脅威は減りましたが、その結果、不運が重なると免疫システムが自身を攻撃するような、より攻撃的な遺伝子が現代に残されることになったのではないかと予想されています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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