Intel元CEOのゲルシンガー氏が日本の半導体メーカーRapidus(ラピダス)について「TSMCに追いつくには根本的な差別化技術が必要」と発言

Intelの元CEOであるパット・ゲルシンガー氏が、日本政府の支援を受けて誕生した国産半導体メーカー「Rapidus(ラピダス)」について、台湾のTSMCに追いつくには「根本的な差別化技術」が必要だと発言しました。
Former Intel CEO Gelsinger has some advice for Japan's Rapidus - The Japan Times
https://www.japantimes.co.jp/business/2025/06/27/companies/playground-gelsinger/

Ex-Intel CEO Pat Gelsinger gives Japan's new leading-edge chipmaker advice, says Rapidus needs unique tech to compete with TSMC | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/ex-intel-ceo-pat-gelsinger-gives-japans-new-leading-edge-chipmaker-advice-says-rapidus-needs-unique-tech-to-compete-with-tsmc
ラピダスはトヨタ・デンソー・ソニー・NTT・NEC・ソフトバンク・キオクシア・三菱UFJ銀行といった大手企業から73億円の出資を受け、2022年に設立された半導体メーカーです。最先端半導体の確保が産業や国家安全保障にとって重要だという認識から日本政府の支援を受けており、2024年4月にはラピダスへの5900億円の補助金が承認されたほか、2024年度の補正予算案ではラピダスを含むAI・半導体産業の強化に対して約1兆5000億円が割り当てられました。
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ラピダスは北海道千歳市に建設した工場に、オランダの半導体露光装置メーカー「ASML」の量産対応EUV露光装置「NXE:3800E」を設置し、2025年4月から国産2nm半導体のパイロット製造ラインを稼働させています。
そんな中、Intelの元CEOであり記事作成時点ではベンチャーキャピタル・Playground Globalのゼネラルパートナーを務めるゲルシンガー氏が、2025年6月に東京で記者会見を開きました。この記者会見で、ラピダスが将来的に大手半導体メーカーになる可能性を問われたゲルシンガー氏は、「ラピダスを市場投入するための日本の努力を称賛します」と評価しました。
その上でゲルシンガー氏は、「しかし私たちは、ラピダスには根本的な差別化技術も必要だと考えています。なぜなら、飛躍的な進歩を遂げる能力を持たないまま、優れた業績のTSMCに追いつこうとすることは、非常に困難な道だからです」と述べ、ラピダスは半導体市場における差別化が必要だという見方を示しました。
ゲルシンガー氏は「日米はテクノロジーと半導体の未来にとって強力なパートナーシップになると考えています。私たちが日本に来た理由のひとつは、それぞれの日本企業と会って、飛躍的な能力の構築を支援するためです」とコメント。日本企業は半導体材料や関連分野で大きなシェアを持っているため、日本企業と協力することによって、Playground Globalが投資したスタートアップにチャンスがもたらされると主張しました。

by Fortune Brainstorm Tech
なお、ラピダスの小池淳義CEOは、ラピダスはTSMCのような超大規模生産を目指していないため、TSMCと直接競合するつもりはないと示唆しています。ラピダスは、大量生産される汎用(はんよう)チップを求める顧客ではなく、ニーズに合わせて特別にカスタマイズされた高度なチップを求める顧客に焦点を当て、顧客との緊密な連携に注力するとのこと。
テクノロジー系メディアのTom's HardwareはSamsungやIntel、TSMCといったその他の半導体メーカーとラピダスが異なる点として、半導体を外部環境から保護するために電気的にパッケージするパッケージング工程を完全に自動化し、ウェハー製造と同じ敷地内に統合していることを挙げています。この仕組みにより、生産期間の短縮が期待されるとTom's Hardwareは述べました。
ラピダスは2025年7月までに最初の試作品を完成させることを目指しており、2027年までに2nm半導体の量産開始を目指しています。
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in メモ, Posted by log1h_ik
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