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台湾やウイグル出身のキャラを使って共産党が支配する人民共和国と戦えるスマホゲーム「逆統戦:烽」に対して香港で国家安全法が発動しダウンロード禁止へ


国家の安全を脅かす行為や活動に関与しているとして、香港警察の国家安全部が「Reversed Front:Bonfire(逆統戦:烽)」のダウンロードを控えるよう警告しました。このゲームでは、プレイヤーは台湾、香港、チベット、ウイグル出身のキャラクターになって「共産勢力」と戦うことができます。

Police remind public not to download or provide funding to mobile application endangering national security
https://www.info.gov.hk/gia/general/202506/10/P2025061000697.htm

Hong Kong bans video game using national security laws
https://www.engadget.com/gaming/hong-kong-bans-video-game-using-national-security-laws-124549944.html

Hong Kong police tell people not to download ‘secessionist’ mobile game | Hong Kong | The Guardian
https://www.theguardian.com/games/2025/jun/11/hong-kong-police-taiwan-mobile-games-reversed-front

「逆統戦:烽」はESC Taiwanという台湾企業が開発するスマートフォン用ゲームです。ジャンルはシミュレーションで、公式ページでは「プレイヤーは、台湾、香港、モンゴル、チベット、カザフ、ウイグル、満洲、華夏(中国)反逆者勢力のいずれかに忠誠を誓い、東方大陸と世界各地の269の町で抵抗組織を育成して共産党政権を転覆させることができます!あるいは、人民共和国に忠誠を誓い、紅軍を率いてすべての敵を倒し、共産主義革命のために地と海の向こう側へ、再び百年の行軍に乗り出すことを選ぶこともできます!」と説明されています。

このほか、「プレイヤーは革命陣営を率いて内部対立を解消し、さまざまな国から援助を募り、抵抗勢力を育成し、平和的な手段と武力的な手段の両方を駆使して紅軍の体力を消耗させ、共産党の支配を不安定にする『大洪水』の到来を早めなければならない」「あるいは、紅軍の役割を担って共産党政権を守り、鉄拳ですべての分離主義・反動派を打ち破り、社会の調和と安定、民族の団結と団結を守り、東洋大陸の偉大なルネッサンスを達成するために、ゲームの最終ターンまで粘ることもできます。また、事前に台湾統一を目指し、ゲームに勝利することもできます」「あるいは、台湾政府としてプレイし、海洋諸国の力を使って大陸情勢に介入しつつ、国内の親共産主義者や宥和主義者と戦い、スパイ網や秘密工作を駆使して最終決戦に勝利することもできます」とも書かれています。

「ある正体不明の愛国者組織の命令に従い、フィリピンの各地で海外勢力による浸透工作を防ぐ任務に従事している」というキャラクター、「赤ん坊のとき行き場をなくした両親とネパールまで亡命するも、父親はナンパラの峠で銃殺された。母娘二人は紆余曲折を経てデヘラードゥーンのチベット人居住区へ逃げ延びて、インド軍のチベット人士官の援助でなんとか暮らしを維持できた。その後インドの諜報員になり、暗躍している」というキャラクターなど、クセのあるキャラクターが多数登場するのも特徴。


さらに、「日本皇国」という日本っぽい国も登場。「日本皇国」の説明には「かつては東方大陸の大半を征服し、清帝後の新たな支配者になりかけたものの、土壇場で敗戦し、その後は孤立主義と平和主義を歩む。いにしえの皇国も今では保身に走るだけだが、我関せずの姿勢を貫くのも難しい」と記されています。


注意書きの形で「このゲーム世界は現実です。登場する国家・政権・民族等は全て現実であり、実在のものとは強い関係があります。言論の自由を貫くため、本ゲーム内ではいかなる文字(プレイヤー名や発言を含む)に対しても、フィルタリングや検閲を行っていません」などと記載があります。


このゲームに香港警察が難色を示し、「『台湾独立』や『香港独立』といった国家分裂主義の主張を煽り立て、武装革命を主張し、中華人民共和国憲法によって確立された中華人民共和国の根本体制の転覆を主張するゲームを装ってリリースされたもので、中央政府と香港特別行政区政府に対する憎悪を煽る意図も持っている」として、反体制活動を禁止することを目的とした国家安全法に基づき、ゲームに規制を加えました。

これにより、ゲームをダウンロードした者は「扇動的な意図を持つ出版物を所持している」とみなされる可能性があるとのこと。香港では正当な理由なく扇動的な意図を持つ出版物を所持することは犯罪と見なされます。また、アプリ開発者に対し、分離独立や転覆の実行のための資金提供を目的としたアプリ内課金等による金銭提供も犯罪となると告知されました。


Bloombergによると、国家安全法でモバイルゲームが取り締まられたのは初めてのことだそうです。テクノロジー系メディアのTech in Asiaは「2020年に北京で施行された国家安全法で、当局は活動家やメディアを皮切りに新たな領域への執行を拡大しており、この法律に基づいて230人以上が逮捕されている。香港による『逆統戦:烽』の禁止は、国家安全法がメディアや抗議活動といった従来の標的を超えて適用される状況が著しくエスカレートしていることを示すものだ」と伝えました。

なお、「逆統戦:烽」のGoogle Play版は「プレイヤーがユーザー名にヘイトスピーチを使用していた」という理由で2025年5月に削除されています。App Store版は健在ですが、香港のApp Storeでは当局が警告を発してから24時間もたたないうちに削除されたそうです。このため開発元はApple IDの地域設定を変更してダウンロードするよう求めています。Steamでは「Reversed Front(逆統戦)」という類似ゲームが「発売予定」として公開されています。

Googleの検索トレンドを追跡するツールによると、当局が警告を発して以来、香港における「逆統戦」という単語の検索数が21時間で1000%増加したとのこと。ESC Taiwanは当局による「無料の宣伝」に感謝するメッセージを公開しました。

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in ゲーム, Posted by log1p_kr

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