Xのコミュニティノート投稿数がわずか数カ月で半減したことが明らかに

X(旧Twitter)には、誤解を招く可能性があるポストにユーザーが背景情報を追加できるコミュニティノート機能があります。アメリカのNBCニュースが行った調査により、コミュニティノートの投稿数が2025年1月から5月の間に半分ほどに減少したことが明らかとなりました。
Use of Community Notes on Elon Musk's X has plummeted in 2025
https://www.nbcnews.com/tech/social-media/x-twitter-community-notes-disappear-data-rcna210710

コミュニティノートは疑わしい内容のポストに対し、プラットフォームのコンテンツモデレーターがファクトチェックを行うのではなく、ユーザーによるファクトチェックを行う仕組みです。一部のユーザーが書いたコミュニティノートを他のユーザーが評価し、大勢から役に立つという評価を獲得したコミュニティノートが優先的に表示されます。
2024年の研究では、Xで新型コロナウイルスワクチンに関するポストに付けられたコミュニティノートの97%が正確なものであり、およそ半数が科学論文などの質の高い情報源を引用していたことが報告されています。
Xのコミュニティノートは新型コロナワクチンに関しては97%が正確だった、コミュニティノートの利点と課題とは? - GIGAZINE

Xのヴァイスプレジデントを務めるキース・コールマン氏はポッドキャストで、コミュニティノートがポストと共に表示されると、特定の誤情報の拡散が抑止されると説明しています。コールマン氏は、「コンテンツがバズってコミュニティノートが表示されると、リポスト率が50~60%減少します。バズりは急速にゼロへと近づいていきます」と述べました。
ところが、NBCニュースが行ったXデータの分析によると、Xへのコミュニティノート投稿数は急減しているとのこと。2025年1月にはユーザーによって作成されたコミュニティノートが月間12万件近くに達しましたが、それ以降は月間のコミュニティノート投稿数が減少しており、5月には6万件を下回ったと報告されています。なお、同じ時期にはX全体のトラフィックが月間47億PVから44億PVに減少したものの、コミュニティノート投稿数の減少率はさらに高いものとなっています。
以下のグラフは、コミュニティノートの前身であり、XがまだTwitterという名称だった時期に導入された「Birdwatch(バードウォッチ)」を含めたコミュニティノートの投稿数を示したもの。2022年末にコミュニティノートが日本を含む多くの国々で利用可能となり、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏の宣伝もあって認知度が高まると共に投稿数が増加。2024年にはかなり高い水準で推移していましたが、2025年には投稿数が急減していることがわかります。

Xの広報担当者はコミュニティノート投稿数の減少について、2024年はアメリカ大統領選挙を含む大きな選挙が世界各国で行われていたため、特にコミュニティノートの投稿数が多かったと主張。2025年に入ってコミュニティノート投稿数が減少したのは、世界情勢に基づく自然な変動だと説明しています。
また、Xはそもそもコミュニティノートの必要性を減らすため、アルゴリズムの調整も行っているとのこと。広報担当者はNBCニュースに対し、「ユーザーがコミュニティノートを活用することでメリットが得られるポストを目にする機会が減れば、自然とコミュニティノートを書いたり、誰かに書くようにリクエストしたりする意欲が低下するでしょう」と語りました。
しかし、Xでコミュニティノートが衰退することは、SNS各社に誤情報の拡散防止を求めているヨーロッパの規制当局の反発を招く可能性があります。イギリスのソーシャルメディアコンサルタントであるマット・ナバラ氏は、「ヨーロッパでは、コミュニティノートを機能させることは単なるオプションではありません。これはコンプライアンスの問題です」と指摘しています。
NBCニュースによると、Xでは作成されたコミュニティノートのごく一部しか表示されないそうで、これもコミュニティノートの投稿数が減る一因になっている可能性があります。ナバラ氏は、「ユーザーがコミュニティノートを見られなくなると、システムが機能していると信じられなくなり、その時点で信頼が失われます。つまり、確かに量が重要なのです。書かれて表示されるコミュニティノートの数が増えるほど、バイラルなポストや誤解を招くコンテンツ、一般的な誤情報に対するカバー範囲が広くなります」と述べました。
なお、Xはコミュニティノートをより詳しくユーザーが評価する新機能のテストも開始しています。
Xのポストにどのような意見が集まっているのか識別できるようにコミュニティノートでラベルをつける新プログラムを試験的に導入中 - GIGAZINE

Xは新機能についてのポストで、「人々は世界が分断されていると感じることが多いものの、コミュニティノートは人々が対立するテーマであっても合意できることを示しています。この実験的な新機能は、異なる視点をつなぐアイデアや洞察、意見を発掘することを目的としています」と述べました。
Community Notes show when they’re found helpful by people who normally disagree. What if we could do the same for posts, recognizing posts that are liked by people who normally disagree? We’ve heard requests for this for years since launching Community Notes, and we’re starting a… pic.twitter.com/ITRgWIJ2vE
— Community Notes (@CommunityNotes) June 5, 2025
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