自国だけで健康的で持続可能な食生活に必要な食料をすべて生産できているのは世界でたった1カ国

近年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや、ウクライナとロシアの戦争など、世界の食糧サプライチェーンを脅かす事態が頻発しています。自国だけで食糧を自給自足することの重要性が浮き彫りになる中で、ドイツとイギリスの研究チームが、各国が「健康的で持続可能な食生活」に必要な食糧をどれほど自国内で生産できているのかを調査しました。
Gap between national food production and food-based dietary guidance highlights lack of national self-sufficiency | Nature Food
https://www.nature.com/articles/s43016-025-01173-4

Global trade vital to healthy food provision | The University of Edinburgh
https://www.ed.ac.uk/news/global-trade-vital-to-healthy-food-provision
Just One Nation Produces Enough Food For Itself, Scientists Reveal : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/just-one-nation-produces-enough-food-for-itself-scientists-reveal
各国の食糧自給率に関する多くの研究では、研究時点での消費パターンに基づいたカロリー自給率を評価しています。しかし、ドイツのゲッティンゲン大学とイギリスのエディンバラ大学の研究チームは、カロリーだけではなく「健康的で持続可能な食生活」に焦点を当てて自給率の動向を分析しました。
研究チームは健康的で持続可能な食生活を評価するため、世界自然保護基金(WWF)が策定した「リブウェル・ダイエット」を構成する食品群を調査しました。WWFのリブウェル・ダイエットは健康的で持続可能な食生活を実現するため、果物・野菜・豆類・全粒穀物といった植物性食品に重点を置き、肉・乳製品・卵の摂取量を控えることを提唱しています。
リブウェル・ダイエットを実現することにより、脂肪・塩分・糖分などの摂取を控えて健康を改善しつつ、気候や自然への悪影響を軽減できるとWWFは主張しています。研究チームはリブウェル・ダイエットを構成する「果物」「野菜」「乳製品」「魚」「肉」「豆類・ナッツ類・種子類」「でんぷん質の主食」の7つの食品群について、各国の自給率を評価しました。

分析の結果、リブウェル・ダイエットに必要不可欠な7つの食品群すべてを国内で自給できているのは、世界186カ国のうちたった1カ国であることが判明しました。
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