中国で出勤して働いているフリをするための「働くふり会社」ビジネスが流行

中国の大卒者は空前の就職氷河期を迎えており、多くの若者がなかなか働き口を見つけられず、家で気まずい思いをしています。そんな人向けに毎朝出勤して夜遅く帰るための偽オフィスとデスクを貸し、オプション料金次第では架空の上司とトラブルになったエピソードまで演出する「假装上班公司(働くふり会社)」のビジネスが中国のインターネットで流行し、実際にその流行に乗ったビジネスも表れていることが報じられました。
北京“假装上班公司”兴起,记者实地调查:真在上班!
https://xinwen.bjd.com.cn/content/s6805cd91e4b0ec1c3d960eba.html
Going to an office and pretending to work: A business that’s booming in China | International | EL PAÍS English
https://english.elpais.com/international/2025-05-31/going-to-an-office-and-pretending-to-work-a-business-thats-booming-in-china.html
北京青年報の報道によると、北京や上海などの都市部に「働くふり会社」が出現し始めており、1日30~50元(約600~1000円)でオフィス環境、Wi-Fi、飲み放題のドリンク、ランチなどを提供すると宣伝しているとのこと。主なターゲットは、暫定的なオフィススペースを得たい失業者、人集めをしている起業家、仕事を疑似体験したい主婦層、自宅では作業がはかどらないフリーランサーなどです。
一見すると単なるシェアオフィスのレンタルで、実際にそのように利用している人もいます。その一方で、家にいて失業しているのが家族にばれるのを恐れる人向けに、出勤記録の無料撮影サービスや、上司による巡回サービス、在職証明書を発行して履歴書の空白期間を埋めるサービスなどをうたうものもあると、北京青年報は報じています。
中国国家統計局によると、2025年第1四半期の都市部の失業率は5.3%だったとのこと。しかし、若者の失業率は飛び抜けて高く、2025年3月には学生を除く16~24歳の失業率が16.5%に達しました。こうした状況の中、中国のSNSの小紅書には「働くふり会社」の広告が多数掲載され、数百万回も閲覧されています。

このインターネット上の流行に乗ったビジネスがさっそく出現しました。例えば、北京の双井にオフィスを構える「働くふり会社」には、デスク、ネットワーク、プリンターなどの基本的なオフィス設備がそろっており、静かで整然とした仕事場の雰囲気が作られています。そこには、真剣にPCに向かっている人もいれば、椅子にもたれてスマートフォンを見ている人や、ゲームで遊んでいる子どももいました。
この「働くふり会社」は、ある弁護士事務所の遊休オフィスで、弁護士は仕事の自由度が高くあまり職場を使わないため、事務所側が持て余したワークステーションを再利用するために短期的に貸し出しているものなのだそうです。

北京の東部にある別の「働くふり会社」の実態はライブ配信会社のスタジオで、ワークステーションに加えてライブ配信室や衣装・小道具室なども完備しています。従業員の話によると、この会社が「働くふり会社」を名乗っているのは流行に乗って遊休スペースを活用しつつ、知名度を上げるのが目的とのこと。
従業員は「私たちは多くのスタートアップが抱える問題をよく知っています。従来のオフィスビルは年間賃料がかかることが多く、起業家にとって大きな負担です。セルフメディア企業として、日単位または週単位での柔軟なリースプランを提供していますが、私たちの主な事業は依然としてセルフメディアの運営とライブストリーミングです」と話しました。
こうした「働くふり会社」の中でも異彩を放っているのが、北京郊外にある「働くふり会社」で、オフィススペースは果物や野菜のビニールハウスが並ぶ農場内にあります。
ここでは、日光を浴びながらリモートワークができるほか、実際に土いじりや収穫といった農作業を体験することも可能になっており、利用者の多くはフリーランサーや就職活動中の人だとのこと。

日本の経済発展期の失業者について書いた本を読んだことがきっかけで、農場の一角を開放して「働くふり会社」を始めたという弁然氏は、ここがサラリーマンにとってのオフィスや、失業者にとっての一時的な憩いの場になることを願っていると話しました。
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in メモ, Posted by log1l_ks
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