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MetaはオリジナルのLlama開発チームの14人中11人を競合他社に奪われている


Metaはオープンソースの大規模言語モデル(LLM)として「Llama」を2023年に発表し、その後もLlamaの新モデルをリリースし続けており、これはMetaのAI戦略の中枢を担っています。しかし、Llama発表時に公開した論文の著者の大半が、すでにMetaを去っていることが明らかになりました。

Meta Loses Majority of Original Llama AI Team to Competitors - WinBuzzer
https://winbuzzer.com/2025/05/26/meta-loses-majority-of-original-llama-ai-team-to-competitors-xcxwbn/

Meta’s Llama AI Brain Drain: Talent Exodus, Model Delays, and the Open-Source Battle Against Rivals
https://www.webpronews.com/metas-llama-ai-brain-drain-talent-exodus-model-delays-and-the-open-source-battle-against-rivals/

exodus at Meta's Llama as 78% of original research team exit
https://www.cryptopolitan.com/exodus-hits-metas-llama-as-researchers-exit/

Business Insiderの報道によると、オリジナルのLlama論文の14人の著者のうち11人がすでにMetaを去っているそうです。これはMetaが優秀なAI関連人材を確保することに苦労しており、熾烈な競争が繰り広げられるAI業界において、競争力を維持できるのかどうかについて深刻な疑問を投げかけています。

MetaからAI関連人材が大量に流出したのは、Metaの最新モデルであるLlama 4 Behemothの開発が難航していることが報じられてからです。

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注目すべきは、Llamaの設計者であるギヨーム・ランプル氏とティモシー・ラクロワ氏が共同設立したMistral AIが、Llama論文の著者3人を引き抜いたことです。ランプル氏とラクロワ氏は2023年5月にMistral AIを立ち上げMetaを去りました。そして、2025年5月になってLlama論文の著者であるバティスト・ロジエール氏、マリー=アンヌ・ラショー氏、ティボー・ラヴリル氏を引き抜いています。

この他、ナマン・ゴヤル氏はThinking Machines Labに、オーレリアン・ロドリゲス氏はCohereに、エリック・ハンブロ氏はAnthropicに、アルマンド・ジューリン氏はGoogle DeepMindに、ゴーティエ・アイザカルド氏はMicrosoft AIに、エドゥアルド・グレイブ氏はKyutaiに移籍しました。

他にも、Metaの基礎AI研究グループを約8年間率いてきたジョエル・ピノー氏が2025年4月にMetaを離れています。なお、ピノー氏の後任であるロバート・ファーガス氏は、GoogleのDeepMindで5年間勤務しているため、「AI研究分野のトップ層の人材が非常に流動的であることを浮き彫りにしている」とテクノロジーメディアのWinBuzzerは指摘しました。

Metaの人材流出について、WinBuzzerは「これはMetaがAIへの多額の投資を継続している一方で、オープンソース分野における初期の優位性が失われつつあることを示唆しています」「Llamaのオリジナルチームの大部分が退職したことは、Metaのイノベーションパイプラインの弱体化を示唆しています。これらの研究者の多くが競合するAIベンチャー企業に入社または設立しているため、その影響はさらに大きくなります」と指摘。


MetaのAIへの取り組みは、より広範な企業再編と多額の財務コミットメントを背景に展開されています。MetaはAIおよび機械学習エンジニアの採用を積極的に進めている一方で、多額の営業損失を計上したため、Reality Labs部門で人員削減を実施しています。

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一方、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、既存のプラットフォームと将来のAI開発のバランスを取ることの重要性を強調し、社内会議で「不正な投稿を検知する数は減少させる一方で、誤って削除してしまう無実の人々の投稿やアカウントの数も減らしていきます」と語ったことが報じられています

MetaのLlamaプロジェクト自体も複雑な環境を進んでいます。Metaは主要なLLMで見られる「歴史的な左傾化」に対処するため、Llama 4の調整に取り組んでおり、Metaはこの傾向が「インターネット上で利用可能な学習データの種類」に起因したものであると指摘しました。


この動きはアメリカでのサードパーティーによるファクトチェックプログラムの終了などのコンテンツモデレーションポリシーの大幅変更と並行して行われています。他にも、MetaはLlamaが海賊版書籍のデータセットでトレーニングされていると主張する著作権侵害訴訟を含む、複数の法廷闘争にも直面しています。

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article Meta has lost 11 of the 14 members of th….