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「アマゾンの部族がネットのせいでポルノ中毒に」という報道にアマゾンの部族が激怒しニューヨーク・タイムズを提訴


ニューヨーク・タイムズが掲載した「初めてインターネットに触れたアマゾンの部族がポルノに悩まされている」という記事について、取材を受けたアマゾンのマルボ族がニューヨーク・タイムズなどを名誉毀損(きそん)で提訴しました。

Amazonian tribe that received Starlink satellite internet cries foul over NY Times story | Courthouse News Service
https://www.courthousenews.com/amazonian-tribe-that-received-starlink-satellite-internet-cries-foul-over-ny-times-story/

Amazon Tribe Sues New York Times for $180 Million Over Internet-Access Story That Sparked Porn Addiction Reports
https://www.thewrap.com/amazon-tribe-sues-new-york-times-for-180-million-over-internet-access-story-that-sparked-porn-addiction-reports/

マルボ族はおよそ2000人からなる部族で、アマゾンの各地に点在する20の村々に分かれて暮らしています。村の中には孤立した場所に存在するものもあり、連絡手段として無線を使っていたのですが、2022年に人工衛星インターネットの「Starlink」を導入してからは世界が一変し、村同士だけでなく世界中とコミュニケーションを取るようになったそうです。

Starlinkでアマゾン奥地の部族がついにインターネットに接続するもSNSやポルノに触れて変わっていく若者たちを長老が不安視 - GIGAZINE


このマルボ族を取材したニューヨーク・タイムズのニカス・ジャック氏は、2024年6月2日の記事で「マルボ族村落協会のリーダー、アルフレド・マルボ氏が最も不安を感じているのはポルノです。若い男たちがグループチャットで露骨なビデオを共有しており、これは人前でのキスを嫌うマルボ族の文化にとっては驚くべきことだとのこと」と述べました。

このような取材を元に、ニューヨーク・タイムズは「Starlinkを導入してわずか9カ月で、マルボ族はアメリカの家庭が何年も悩まされてきたものと同じ課題に直面しています。それは、スマートフォンに釘付けになるティーンエイジャー、ゴシップだらけのグループチャット、中毒性のあるソーシャルネットワーク、オンライン上の見知らぬ人々、暴力的なビデオゲーム、詐欺、誤情報、そしてポルノを見る未成年者です」と報じました。


上記の記事が公開された後、TMZというニュースメディアが「Starlinkとの出会いで部族がポルノ中毒に!」と題する記事を掲載しました。

TMZの「部族がインターネットのせいでポルノ中毒になった」という扇情的な内容が瞬く間に広まったため、マルボ族のリーダーは「これらの主張は根拠がなく、真実ではなく、私たちの自治とアイデンティティを軽視している。ニューヨーク・タイムズの記事はインターネットのマイナス面を過度に強調し、歪んだ有害なイメージを広める結果となった」との声明を発表しました。

これを受け、ジャック氏は2024年6月11日付けで「若者がポルノ画像を共有しているとマルボ族のリーダーが話したことについて伝えたが、マルボ族はポルノ中毒ではなく、そのような兆候もなく、ニューヨーク・タイムズの記事にもそんなことは書いていない」とする記事を改めて掲載し、センセーショナルな見出しを付けた外部のメディアを非難しました。


騒動は落ち着いたかに見えましたが、マルボ族のリーダーの1人、エノク・マルボ氏と、Starlinkを部族に導入する活動にも尽力したブラジル人活動家のフローラ・ドゥトラ氏が、2025年5月になってニューヨーク・タイムズとTMZ、そして関連する記事を掲載したYahooを相手取って訴訟を起こしたことで、再び問題視されるようになりました。

ドゥトラ氏らは「ニューヨーク・タイムズは、マルボ族の人々をインターネットへの基本的な接触にも耐えられないコミュニティとして描写し、特に若者がインターネットへのアクセス直後にポルノに溺れたという主張を強調した」と述べ、部族の名誉が傷つけられたと主張し、1億8000万ドル(約256億円)の損害賠償を請求しています。

加えて、ニューヨーク・タイムズが外部のメディアを非難する記事を掲載したことについて、原告は「中傷的な物語を煽るのにニューヨーク・タイムズ自身が果たした役割を認めておらず、撤回や謝罪をするのではなく、外部に責任を転嫁することで、元の記事がポルノを強調していることを軽視した」と指摘しています。

これを受け、ニューヨーク・タイムズは「この記事を公正に読めば、誇り高き歴史と文化を保持する人里離れた先住民の村における新技術の利点と複雑さについて、繊細かつ微妙なニュアンスで探求していることがわかります」との声明を公開し、断固として抗弁する姿勢を強調しました。

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