サウナに入る前にアルコールを飲むのが危険な理由とは?

サウナ文化は国境や歴史を越えて豊富かつ多様に成長しており、フィンランド・日本・メキシコといった国々だけでなく、イギリスでもかつてないほど楽しまれるようになっています。そんなイギリスではお酒とサウナを同時に楽しむ人も多いそうですが、そんな人に向けて「サウナの前にアルコールを摂取することは非常に危険である」とブリストル大学生の理学・薬理学・神経科学学部で上級講師を務めるダン・バウムガード氏が解説しています。
Fancy letting off steam with a beer before the sauna? Here’s why that might be a bad idea
https://theconversation.com/fancy-letting-off-steam-with-a-beer-before-the-sauna-heres-why-that-might-be-a-bad-idea-255703

サウナを利用する上での潜在的な健康効果については、数多くの研究が行われています。
例えば、日本の研究者が動脈の狭さくによって心臓発作のリスクが高まる虚血性心疾患の患者を対象に、和温療法(低温サウナ療法)の効果を研究しており、患者の症状が改善するという臨床的証拠が示されました。他にも、和温療法が末梢動脈疾患や心臓発作後の回復に効果的であることが報告されています。
また、サウナが高血圧や特定の肺疾患の管理に役立つことや、傷の治療を促進する効果があること、認知症やアルツハイマー病の発症リスクを低下させる効果があることなどが、過去の研究により明らかになっています。

しかし、アルコールを摂取すると「状況は変わる」とバウムガード氏は指摘。
脳の奥深くにある体温を調整する役割を担う視床下部は、熱に反応して皮膚への血流を増加させ、発汗を促して体温を下げます。しかし、これは脱水症状のリスクを高めることにもつながるそうです。また、利尿作用のあるアルコールと組み合わせると、脱水症状のリスクは大幅に高まることになるとバウムガード氏は指摘しました。
また、アルコールと高温はどちらも心血管機能に影響を与えるため、血圧を低下させ、心拍数を増加させることも明らかになっています。また、アルコールを摂取した状態でサウナに入ると、不整脈のリスクが高まることも研究により明らかになりました。
この他、脳への影響もあります。アルコールは判断力と協調性を低下させます。サウナという暑さ、滑りやすい床、熱気に満ちた部屋では、「絶対に損なわれたくないもの」だとバウムガード氏は指摘。

これらをすべて考慮すると、アルコールを摂取した状態でサウナに入ると、脱水症状・発熱・酩酊状態に陥り、心拍数が上昇し、血圧が急降下します。そうすると、めまい・失神・錯乱状態に陥り、転倒・火傷・溺死のリスクが高まるとバウムガード氏は指摘しました。
実際、サウナの中で倒れたり意識を失ったりすることは非常に危険です。アメリカ法医学病理学誌に掲載された事例によると、ある人がサウナに7分入っただけで火傷を含む重傷を負い、最終的に死亡してしまいました。フィンランドで行われた別の研究では、サウナでの事故死とアルコール中毒との関連性が高まっていることが明らかになっています。
これらを踏まえ、バウムガード氏は「重要なのは、お酒を飲むならサウナの前や最中ではなく、サウナの後にすべきということです。酔っている人はサウナを避けるか、少なくとも厳重な監視下に置かれるべきです」と語りました。

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in サイエンス, Posted by logu_ii
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