サイエンス

片頭痛になると特大コーラとフライドポテトが欲しくなる理由とは?専門家が語る「究極の片頭痛対策」も


頭痛に悩まされる人の多くは、市販の頭痛薬や医師が処方した薬で痛みを鎮めますが、中には「特大サイズのコーラとフライドポテトで治った」という人もいます。一見すると奇妙なライフハックに見えますが、実はあながち的外れではないとのことで、その理由を脳神経科学の専門家が解説しました。

Why your migraine might be making you crave a large Coke and fries
https://theconversation.com/why-your-migraine-might-be-making-you-crave-a-large-coke-and-fries-256309

あるX(旧Twitter)ユーザーの女性は2025年5月16日に、「マクドナルドのフライドポテトと、全脂肪コーラ(ダイエットコーラではないコーラを意味するスラング)で片頭痛が治るって教えてくれたドラッグストアの女の子に、明日キスしに行きたいぐらいです。本当に助かりました!」と投稿しました。


イギリスのダラム大学の神経科学教授であるアマンダ・エリソン氏によると、この対処法はまったくのナンセンスではないとのこと。まず、コーラに含まれるカフェインは血管収縮剤として作用し、片頭痛の主な引き金となる血管拡張を抑えることができます。


血管が広がると、その近くの痛覚神経、特に触覚や痛覚や温感などを伝える三叉神経系が圧迫されて、ズキズキと脈打つような頭痛を起こします。そのため、市販の頭痛薬の多くにもカフェインが含まれてます。

さらに、コーラとフライドポテトに入っている糖分や塩分は、片頭痛の際に乱れがちな血糖値と電解質のバランスを取り戻すのに役立つことがあります。なぜそうなるのかを知るには、まず普通の頭痛とは異なる片頭痛の4つのプロセスを知っている必要があります。


◆1:前駆症状(プロドローム)
最初の段階である前駆症状は、片頭痛の数日前から数時間前に始まるもので、けだるさやイライラ、異常なほどの気分の落ち込みなどに見舞われます。

片頭痛は、神経系の混乱によって起きることが多いため、前駆症状が出ると、人は無意識に神経系のバランスを取り戻そうとします。例えば、ドーパミンの分泌を促すためにあくびが増えたり、セロトニンを増やすためにハグや触れ合いを求めたりする、といったケースが考えられます。また、自律神経を落ち着かせるために氷水を飲む人もいれば、コーラとフライドポテトに手を伸ばす人もいます。

エリソン氏によると、実はこの前駆症状の時期こそ最も対処が適切なタイミングだとのこと。そして、エリソン氏が「究極の片頭痛対策」と呼ぶのがチョコレートです。

チョコレートには、セロトニンレベルを上昇させるのに役立つ化合物が豊富に含まれているため、片頭痛の主な発症要因であるセロトニンの減少を抑えることができます。人によっては、初期の段階で少量のチョコレートを食べることで片頭痛の発作を予防することもできるそうです。


◆2:前兆(オーラ)
前段階の後期には、脳内で激しい電気活動が発生し、その後抑制されることで血流が変化して血管が収縮します。これにより、キラキラした光が見えたり、チクチクした異様な感覚を経験したりすることがあります。片頭痛患者の約80%は、このような「オーラ期」を経験しませんが、脳内では同じことが起きているとのこと。

◆3:痛み
収縮した血管が反動で拡張すると、前述のように拡張した血管が痛覚受容体を活性化させて、片頭痛特有のズキズキとした痛みが発生します。

発作的な痛みが発生すると、食べ物どころではなくなるので、多くの人はファストフードではなくトリプタン系の頭痛薬に頼ります。トリプタン系の薬剤には、いずれも血流を調節する機能を持つセロトニンとヒスタミンのバランスを整える作用があります。

◆4:頭痛後の症状(ポストドローム)
ポストドロームは、片頭痛発作の後の最大80%に発生するもので、吐き気や疲労感、脱水症状、体の痛み、頭がぼんやりするなど、典型的な二日酔いと酷似した症状を引き起こすことがあります。

多くの人にとって、長引くポストドロームは片頭痛そのものと同じくらいつらく、時間がかかり、疲れるプロセスです。一般的に、片頭痛の4段階が一通り終わるまでには、数日から数週間かかることもあるとのこと。


◆まとめ
このように、片頭痛のプロセスの中で最も重要な初期段階では、体が脳で起きている変化に対処すべく、特定のものが食べたくなったり飲みたくなったりすることがあります。個人差が大きいため、すべての人に効く対処法はありませんが、人によってはコーラとフライドポテトで血糖値や血圧を調節することで、脳の血管の急激な収縮と拡張によって引き起こされる片頭痛を予防したり症状を和らげたりできるというわけです。

エリソン氏は「片頭痛でチョコレートや冷たい水、コーラやフライドポテトが欲しくなったり、誰かにハグしてもらいたくなったりするのは、身を守ろうとする体の働きによるもので、脳科学で裏付けられています。脳の反応に基づいて自分なりの治療法を開発することで、痛みに一歩先んじて対処できるようになります」と述べました。

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in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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