著作権侵害サイトに対するDNSブロックの裁判所命令にGoogle・Cloudflare・OpenDNSはそれぞれどのように対応しているのか?

著作権保有者にとって、DNSブロッキングは海賊版や違法ソフトウェアを配布するサイトに対して有効な対応策です。DNSブロックの要求が相次ぐ中で、GoogleやCloudflare、OpenDNSといったDNSクライアントがどのように対応しているのか、著作権侵害などのトピックを扱うメディアのTorrentFreakが調査結果をまとめています。
DNS Piracy Blocking Orders: Google, Cloudflare, and OpenDNS Respond Differently * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/dns-piracy-blocking-orders-google-cloudflare-and-opendns-respond-differently-250511/

DNSとは、ユーザーがアクセスしようとリクエストしたドメイン名について、IPアドレスに変換してインターネット通信を行うためのもの。その際にドメインがブロック対象のものであった場合、DNSサーバーが正しいIPアドレスを返さずに「そのドメインは存在しない」「このサイトは危険であるという警告ページ」などを表示させることでサイトへのサクセスをブロックする方法がDNSブロッキングです。
2024年頃からフランスやイタリア、ベルギーの裁判所は、GoogleやCloudflare、OpenDNSに対し、海賊版サイトなどの特定のDNSクエリへの応答を変更するように命令しています。DNSブロッキングはサイトの停止命令などよりも比較的簡単かつ速やかに実装可能である一方で、技術的に回避が容易であったり、ユーザーがどのサイトにアクセスしようとしているか検知して通信内容を検閲する「通信の秘密」の侵害であると考えられたりと、実施に反対する意見もあります。
Googleでは、裁判所命令によってDNSブロッキングが命じられたドメインについて、DNS経由ではアクセスできなくなっていることがTorrentFreakの調査によって判明しました。以下は、サッカー関連の違法ストリーミング配信をしていた海賊版サイトにアクセスした様子。

しかしTorrentFreakによると、GoogleはDNSクエリを単純に拒否してブラウザエラーを表示させる形であり、ブロックの理由を説明するようなIPアドレスにリンクされていないため、透明性に欠けるとのこと。ベルギーの裁判所は、アクセスしようとしたユーザーに詳細を提供するため「専用ページにリダイレクトする」ことを命令に含めていますが、Googleはこれに反しています。
Cloudflareの場合、ブロッキング命令が発令されている国で対象ドメインにアクセスしようとするユーザーは、代わりに以下のような通知を受け取ります。通知にはLumenデータベースへのリンクが含まれており、技術的ブロックの理由を確認することができます。ただし、CloudflareはDNSブロッキングではなく独自の方法で裁判所命令に従っており、2024年下半期の透明性レポートでは、「DNSリゾルバー経由でコンテンツをブロックしているのではなく、その代わりに『代替メカニズム』を使用している」と説明しています。

フリーDNSレゾリューションサービスのOpenDNSは、裁判所のDNSブロッキング命令に対し、かなり極端な措置を講じています。2024年6月にフランスの裁判所がOpenDNSなどにアクセス阻止のための技術的措置を実施するよう命じた際に、GoogleやCloudflareは海賊版ドメインへのアクセスを封じたのに対し、OpenDNSはフランス全土へのサービスを停止しました。2025年4月にはベルギーの裁判所から同様の命令を受け、OpenDNSは同じように、命令のあったサイトだけではなくサービス全体を撤退させています。
TorrentFreakは「調査の結果、各社の対応は大きく異なっており、既に混乱している状況にさらに拍車をかけていることがわかりました。DNSへの介入は軽々しく行うことのできない大きな一歩であるため、透明性が何よりも重要です」と述べています。
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