ネットサービス

音声ファイル共有サービスのSoundCloudが音声データをAI学習に利用できるよう利用規約をひっそり変更も「AI学習にユーザーの音声ファイルは利用していない」と言及、利用する際には通知&オプトアウト可能にすると約束


音声ファイル共有サービスのSoundCloudが、ユーザーのアップロードした音声ファイルでAIのトレーニングができるように利用規約をひっそりと変更したことが報じられました。これに対して、SoundCloudはAIのトレーニングにユーザーのアップロードした音声ファイルを利用したことはないとコメントしています。

SoundCloud changes policies to allow AI training on user content | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/05/09/soundcloud-changes-policies-to-allow-ai-training-on-user-content/


技術倫理学者のエド・ニュートン=レックス氏が、SoundCloudの利用規約が変更され、アップロードされたコンテンツをベースにAIに「情報提供、トレーニング、開発」することが可能になったと指摘しています。ニュートン=レックス氏は利用規約の更新に関する通知メールは「送られていない」と指摘。このことを報じたTechCrunchによると、SoundCloudの利用規約が更新されたのは2024年2月7日だそうです。


利用規約には「お客様は、お客様のコンテンツが、サービスの一部として、またはサービス提供のために、人工知能または機械知能の技術またはサービスへの情報提供、トレーニング、開発、または入力として使用されることに明示的に同意します」と記されています。


なお、SoundCloudはユニバーサルミュージックやワーナーミュージック・グループといった大手音楽出版社に加え、インディーズレーベルとも多数のライセンス契約を結んでいますが、これらのレコードレーベルとの契約は完全に別物であるとTechCrunchは指摘しています。

SoundCloudは10社近くのベンダーと提携し、リミックス、ボーカル生成、カスタムサンプル作成のためのAI搭載ツールをプラットフォームに導入しています。SoundCloudは2024年秋に、これらのAIパートナーはコンテンツIDソリューションへのアクセスを許可され、「権利保有者が適切なクレジットと補償を受けられるようにします」「クリエイターの権利を尊重する倫理的で透明性のあるAI運用を維持することを約束します」と説明していました。

TechCrunchの報道に対して、SoundCloudのSVP兼コミュニケーション責任者であるマルニ・グリーンベルグ氏がテクノロジーメディアのThe Vergeに利用規約の変更に関する声明を出しています。

SoundCloud says it isn’t using your music to train generative AI tools | The Verge
https://www.theverge.com/news/664683/soundcloud-denies-training-ai-with-user-music


グリーンベルグ氏は声明の中で「SoundCloudはアーティストのコンテンツをAIモデルの学習に使用したことはありません。また、AIツールを開発したり、第三者がSoundCloudのプラットフォームからAI学習目的でコンテンツをスクレイピングしたり使用したりすることを許可することもありません。実際、不正使用を明示的に禁止するために、サイトに『AI禁止』タグを表示するなど、技術的な安全対策を講じています」と述べ、利用規約の変更は音声ファイルをAI学習に使用するためではないと説明しました。

さらに、利用規約を更新した理由を「SoundCloudプラットフォーム内でコンテンツがAI技術とどのように連携するかを明確にすることを目的としたもの」と説明しています。加えて、SoundCloudではパーソナライズされたレコメンデーション機能や、不正行為の検出などにAIを活用しており、今後プラットフォーム上でAIを活用する計画においても、同様の方向性を示しているとグリーンベルグ氏は語りました。

The Vergeが自分のアップロードした音声ファイルをAIのトレーニングに利用できないよう選択可能にするべきではと尋ねたところ、グリーンベルグ氏は「利用規約では、メジャーレーベルの楽曲など、ライセンスを取得したコンテンツを、生成AIを含むあらゆるAIモデルの学習に使用することを明確に禁止しています。SoundCloudにアップロードされたその他の種類のコンテンツについては、利用規約によりAI関連の使用が認められています。ここで重要なのは、これまでそのような利用は行われていないということです。SoundCloudは、今後の利用の可能性を管理するために、堅牢な内部権限管理を導入します。ユーザーコンテンツを生成AIモデルの学習に使用することを検討する場合は、少なくとも事前に明確なオプトアウトメカニズムを導入し、クリエイターコミュニティへの透明性の維持に努めます」と語り、音声ファイルのAIトレーニングへの利用の可能性を示唆しつつ、それが実現する際にはユーザーに事前に通知し、オプトアウト可能にすると約束しています。

SoundCloudは利用規約の重大な変更は「目立つ形で通知する」と説明していますが、ニュートン=レックス氏が指摘しているように、2024年2月に利用規約が変更された際には通知を行っていません。The Vergeのウェス・デイビス氏も「私もSoundCloudに寄稿していますが、確認した限りでは利用規約の変更に関するメールは見当たらなかったです」と述べており、ユーザーの音声ファイルがAI学習に利用されるようになっても「メールで通知される保証はない」としました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
声優が音声サンプルをAIトレーニングに勝手に使用された可能性があるとオーディオプラットフォームに疑いのまなざしを向けている - GIGAZINE

AIで作った「AI音楽」が流行、Discord上には2万人超が集まる人気サーバーも - GIGAZINE

AIで架空のエピソードを自動生成してポッドキャストを配信 - GIGAZINE

ジャズを自動作曲する人工知能「deepjazz」、AIが作ったジャズはこんな感じ - GIGAZINE

YouTube・SoundCloud・音楽ファイルを自動分析してコードを表示する「Chordify」 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article SoundCloud, an audio file sharing servic….