サイエンス

サメ映画で人気の古代の海の王者メガロドンの体形はレモンザメに近かったことが明らかに

by ume-y

約2300万年前~360万年前の中新世から鮮新世にかけて生息していたとされる古代のサメ「メガロドン」は、史上最大級のサメと考えられています。メガロドンの胴体の比率を、145種の原生するサメと20種の絶滅したサメと比較した結果、メガロドンはホホジロザメのような体形ではなく、レモンザメのような細い流線形の体形だった可能性が報告されています。

Biology of Otodus megalodon
https://palaeo-electronica.org/content/2025/5450-biology-of-otodus-megalodon

Study: Megalodon’s body shape was closer to a lemon shark - Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2025/03/study-megalodons-body-shape-was-closer-to-a-lemon-shark/

Megalodon may have grown up to 80 feet long — far larger than previous estimates | Live Science
https://www.livescience.com/animals/extinct-species/megalodon-may-have-grown-up-to-80-feet-long-far-larger-than-previous-estimates

シーワールドサンディエゴの研究員であるフィリップ・スターンズ氏によると、歯の化石を使ってサイズを予測する従来の方法では、メガロドンは約18メートル~20メートルほどのサイズと推定されていました。しかし、メガロドンの完全な骨格はこれまで発見されておらず、唯一発見された椎骨や歯の化石をもとにメガロドンの体長や体形について研究が進められてきました。


そこで、スターンズ氏らの研究チームはメガロドンの化石を調査し、原生するサメ145種と絶滅したサメ20種との比較を実施。背骨の長さが約11メートルと推定されるメガロドンの椎骨を使った研究では、メガロドンがほかのサメと似通った形態をしていると仮定すると、この個体が1.8メートルの頭や3.6メートルの尾びれを持っていた可能性が明らかになり、推定される全長は約16.4メートルに達しました。

さらに、これまで発見された最大のメガロドンの椎骨は、直径が約23cmのもので、体長16.4メートルのメガロドンの椎骨よりも約7.6cm大きいことが分かっています。同じ比率を用いた計算の結果、直径約23cmもの椎骨を持つメガロドンの体長は24.3メートルであったことが推測されました。


研究チームによると、メガロドンが胎生であると仮定した場合、体長3.6メートル~3.9メートルもの小ザメを出産していたことになるとのこと。

加えて研究チームは、これまで不明だったメガロドンの体形についても調査を実施しました。発見されているメガロドンの歯は原生するホホジロザメと同様の鋸歯であったことから、これまでメガロドンはホホジロザメと同じような体形をしていると考えられてきました。シカゴ・デポール大学の古生物学教授である島田賢舟氏は「これまでの研究では、メガロドンは証拠なしに現代のホホジロザメの巨大版と想定されてきました」と述べています。


しかし、今回明らかになったメガロドンの実際の体長に加え、ジンベイザメやウバザメ、クジラなどの大型生物が水中を移動する方法の流体力学モデルをもとに分析した結果、メガロドンはホホジロザメのようなずんぐりした体形ではなく、レモンザメのようなスリムな体形だった可能性が浮上しました。

by ume-y

島田氏は「ジンベイザメやウバザメなどの原生する巨大なサメや、クジラのようなほかの多くの巨大な水生脊椎動物は体が細いです。なぜなら、大きくずんぐりした体は流体力学的に泳ぐのに非効率的だからです。ホホジロザメはたしかに大きいかもしれませんが、流体力学的な制約のために7mを超えて巨大になることはできません。また、ホホジロザメがメガロドンのサイズにまで大きくなると、流体力学制約のために効率的に泳ぐことができなくなります。これは、メガロドンが現代のホホジロザメよりもはるかに細い体を持っていた可能性が高いという考えを裏付けるものです」と語りました。

一方で、スウォンジー大学でメガロドンを研究するジャック・クーパー氏は「スターンズ氏らの研究チームは、大型生物の水中での移動にクジラを含めています。クジラはサメとは全く異なる骨格を持っているだけでなく泳ぎ方も全く異なります。そのため、『メガロドンは細かった』という仮説はあくまで仮説にすぎず、これまでの想像を明確に排除するものではありません」と指摘しています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1r_ut

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