離婚した両親の子どもは老後の脳卒中リスクが高い

トロント大学の調査により、小児期に両親が離婚した経験のある人は、そうでない人と比べて老後に脳卒中になるリスクが61%も高いことがわかりました。この結果は、親が子に虐待していたかどうか等、他のリスクを考慮しない場合に導き出されました。
Parental divorce’s long shadow: Elevated stroke risk among older Americans | PLOS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0316580

Adult children of divorced parents at higher risk of stroke, study finds
https://medicalxpress.com/news/2025-01-adult-children-divorced-parents-higher.html
Childhood Divorce’s Hidden Impact: A 60% Higher Stroke Risk
https://scitechdaily.com/childhood-divorces-hidden-impact-a-60-higher-stroke-risk/
トロント大学のエスメ・フラー・トムソン氏らは、先行研究で「親の投獄、精神疾患、離婚、性的・身体的または感情的虐待」などが子どもの健康に悪影響を及ぼすという結果が示されていることに着目。特に性的・身体的虐待を経験した女性は脳卒中のリスクが高く、虐待を経験した男性と女性の両方が心血管疾患のリスクが高いなどの先行研究を調査しましたが、「虐待の経験がある人とない人を比較した研究はほとんどない」という点に関心を寄せ、自ら調査することにしました。
トムソン氏らはアメリカに住む65歳以上の人々の医療データを収集し、最終的に1万3205人分のデータを分析。「18歳になる前にあなたの両親は離婚していましたか?」といったアンケート内容を考慮し、親の離婚経験がある人とない人の健康リスクを計算しました。
その結果、まず65歳以上の人のうち7.3%が脳卒中と診断されていたことが判明します。また全体の約7人に1人(13.9%)が両親の離婚を経験していました。
続いて、両親の離婚を経験した回答者のうち脳卒中と診断された人は11.2%だったのに対し、両親の離婚を経験していない回答者では7.5%だったこともわかりました。

上記の結果から既に「両親の離婚を経験した人は脳卒中の割合が高い」ということがわかりましたが、トムソン氏らはさらに「親からの虐待、喫煙経験、運動不足、低所得、低学歴、糖尿病、うつ病」などの危険因子を排除するべく、こうした因子を持たない人に絞って分析しました。
その結果、危険因子はないものの両親が離婚したという人の脳卒中の割合は、危険因子も両親の離婚経験もない人に比べて1.61倍高かったといいます。
共著者であるテキサス大学アーリントン校のフィリップ・バイデン氏は「幼少期の身体的・性的虐待の経験がなく、幼少期に安心して身を任せられる大人が少なくとも一人いたという場合でも、両親が離婚していた場合は脳卒中になる可能性が高いことがわかりました」と語りました。
トムソン氏らは、両親の離婚と脳卒中との間になぜ関連性があるのかは不明であるとしながらも、生物学的要因と社会的要因の両方が関与している可能性があると推測しています。例えば、幼少期に両親が離婚することで高レベルのストレスホルモンが持続的に分泌される可能性があり、子どもの頃にこのような経験をすると発達中の脳やストレス対応能力に永続的な影響を及ぼす可能性があるとのことです。

このほか、高齢であること、男性、地方在住、低所得、ネグレクト経験あり、家庭内薬物使用経験あり、家庭内暴力の目撃経験ありといった因子を持つ人は、脳卒中になる可能性が高かったこともわかっています。
例えば、既婚者の脳卒中割合は6.7%だったのに対し、寡婦(夫)では8.8%、独身または未婚では7.9%でした。他にも、元喫煙者が8.5%、非喫煙者が7.1%だったのに対し、喫煙者は11.2%でした。
トムソン氏らは「今回の調査ベースの研究では因果関係を証明することはできませんが、他の研究者がこのテーマを検討するきっかけになることを期待しています」「今後の研究で親の離婚と脳卒中との間に同様の関連性が発見されれば、脳卒中の予防や治療の際に役立てることができると思います」と述べました。
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