サイエンス

過去100年の間に男性は女性の2倍のペースで平均身長と体重が増加していることが明らかに


1900年までさかのぼって男女の身長と体重を調べた研究により、男性は女性の2倍の速度で体格が大きくなっていることが明らかになりました。ヒトの性的二型が拡大している兆候が示されています。

The sexy and formidable male body: men’s height and weight are condition-dependent, sexually selected traits | Biology Letters
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2024.0565


More than 100 years of data suggest men are growing taller and heavier at twice the rate of women
https://phys.org/news/2025-01-years-men-taller-heavier-women.html

Men have grown twice as much as women over past century, study shows | Biology | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2025/jan/22/men-have-grown-twice-as-much-as-women-over-past-century-study-shows

ヒトの場合、オスはメスよりも平均的に背が高く、筋肉質で体重が重いです。先行研究によると、この体格差はおそらくオスがメスを奪い合うためであり、過去の時代には体格の良い男性がそのような争いに勝つ傾向があったため、だんだんと体の大きい男性だけが残ったのではないかという考察が示されているそうです。ところが、現代ではそのような争いは少なくなっているのにヒトの体格は大きくなり続けています。

イタリア・ジェノバ大学のデビッド・ジョフレ氏らは、性的なサイズの二形性(Sexual size dimorphism)が多くの種で観察されていることに加え、多くの国で男性の方が女性よりも体格が大きいことに目を付け、人の性別による体格差が時代と共に変化しているのかどうかを調査しました。


ジョフレ氏らはWHOのデータベースにアクセスし、1900年までさかのぼる世界62カ国の約13万5000人のデータを分析しました。その結果、おそらく食生活とヘルスケアの改善により、男女ともに身長と体重が増加していることが判明したとのこと。特筆すべきは年代による男女の体格の違いでした。

ジョフレ氏らは、長寿、知識、人間らしい生活水準の3つの分野から算出される各国の人間開発の度合いを測る指標「人間開発指数(HDI)」を用い、このHDIを各国の人々の平均身長と体重のデータと結びつけて分析しました。


HDIは0から1までのスコアで示されますが、HDIが0.2ポイント増加するたびに、女性の身長は平均して約1.68cm、体重は平均して約2.7kg増加していることがわかりました。一方で男性の平均身長は約4.03cm、平均体重は6.48kg増加しており、およそ100年の間で男女の体格差に大きな開きが生まれたことがわかりました。

また、ジョフレ氏らがイギリスに的を絞ってさらに分析したところ、イギリスのHDIは1900年の0.8から2022年に0.94に上昇していたこと、男性の平均身長は170cmから177cmから4.12%上昇したのに対し、女性の平均身長は159cmから162cmへの1.89%の上昇にとどまっていたことを突き止めました。

このように、過去100年以上にわたって男女の体格差が広がっていることについてジョフレ氏らは、「各国の女性が、体格の良い男性をパートナーに選び続けた結果かもしれない」と論じています。研究に携わったローハンプトン大学のルイス・ハルシー教授は「これを視野に入れると、1905年生まれの人で男性よりも背の高い女性は約4人に1人という割合だったが、1958年生まれだと約8人に1人に落ちる」と指摘しました。


また、ジョフレ氏らが身長と体重をジニ係数と関連付けて実施した調査では、ジニ係数が1単位増加するごとに、すなわち不平等が大きくなるごとに、女性では約0.14cm、男性では約0.31cm、平均身長が減少していたことも明らかになっています。体重の場合、女性では約0.13kg、男性では0.39kg減少していました。

これについてジョフレ氏らは幼少期の生活環境との関連性を指摘し、貧しい環境で育った人ほど栄養が足りずに満足に成長できなかった可能性があると指摘しています。男女に差が生まれた点についても、女性は男性より身長が小さく、代謝に必要な臓器が小さいため、環境による栄養素やカロリーの変動の影響を受けにくいのではないかとジョフレ氏らは考察しました。

ジョフレ氏らは、男性の方が幼少期の生活環境に影響を受けやすいこと、また体格が大きいほど健康上の問題に起因する病気を抱えやすいということから、「男性はメンテナンスと発達コストが増加している」と指摘。また今後集団の健康状態の変化を追跡する研究においては、発育条件や生活環境に基づく追跡調査が必要だと述べました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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