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Googleの兄弟企業からAIを使って農業に革新を起こすスタートアップ「Heritable Agriculture」が独立


X(旧Google X)はかつてGoogle内で次世代テクノロジーの研究を行っていた研究機関であり、記事作成時点ではGoogleの親会社・Alphabetの子会社となっています。そんなXから、AIを活用して農業に革新を起こすスタートアップ「Heritable Agriculture」が独立しました。

Heritable Agriculture
https://heritable.ag/


Introducing Heritable Agriculture
https://x.company/blog/posts/heritable-agriculture/

Tech News | American Press Technology News
https://www.businesswire.com/news/aptechnologynews/20250130584800/en/Heritable-Agriculture-Launches-From-X-The-Moonshot-Factory-to-Improve-Crops-and-Sustainably-Feed-the-World

Google's X spins out Heritable Agriculture, a startup using AI to improve crop yield | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/02/02/google-x-spins-out-heritable-agriculture-a-startup-using-ai-to-improve-crop-yield/

現地時間の2025年1月28日、Alphabet傘下のXからAIを活用して農業を改善するスタートアップ「Heritable Agriculture」が独立したことが発表されました。社名に入っている「Heritable」という単語には「遺伝性」という意味があり、Heritable Agricultureは遺伝学とAIを組み合わせることで、農作物の収量や品種改良のコストを改善しようとしています。


CEO兼共同創業者を務めるブラッド・ザムフト博士は、植物は太陽光と水を燃料とする「太陽光発電のカーボンネイティブな自己組織化機械」だと主張しています。しかし、農業は人類が居住可能な土地の約半分、人為的な温室効果ガス排出量の4分の1、地下水取水量の70%を占めており、地球にとって最も負担の大きい産業のひとつになっているとのこと。

そこでHeritable Agricultureは、高度な計算生物学テクノロジーを使って植物の特定のゲノムが持つ機能を特定し、理解できる機械学習モデルを開発しました。これらのゲノムを理解することで、その土地の気候に適した形質を持つ品種を選び、作物の収量を増加させ、水の必要量を削減し、根や土壌の炭素貯蔵能力を向上させることが可能となります。

研究チームは開発したモデルを検証するため、Xの研究施設にある特殊な成長チャンバーで数千もの植物を育て、その成長を1時間ごとに撮影して測定したとのこと。これにより、植物が開花する時期をどれほど正確に予測できるのかを追跡し、特定のゲノムの変化が発芽時期に及ぼす影響を理解できたそうです。


また、実際にカリフォルニア州やウィスコンシン州、ネブラスカ州の農業施設でさまざまな作物を対象とした研究を行い、トウモロコシの穂に成った粒の数や野菜の苦みといったデータを実地で収集することにも時間を費やしたとのこと。

ザムフト博士は、「ホコリやゴミ、うだるような暑さの中で、液体窒素で数百個のサンプルを採取・凍結するシステムを開発し、数千本の植物の根を掘って洗浄しました」と述べています。以下の写真は、共同創業者であり実験リーダーのダビデ・ソッソ博士が、植物サンプル保存用の液体窒素を準備している様子です。


記事作成時点のHeritable Agricultureは、特定の環境での効率的な作物生産を可能にするゲノムの特定や、植物の生育パフォーマンスの予測といったサービスを提供しています。しかし、遺伝子組み換え作物の開発には手を出しておらず、ロードマップにもないとのこと。それよりも「何を育てるのかを特定する」「作物同士を掛け合わせてより良い品種を作り出す」といったニーズに焦点を当てているそうです。

ザムフト博士は、「世界の人口増加に対応するためには、食料生産を増やすためのスマートで持続可能な方法が必要です。しかし、現在の作物改良のペースとコストは、世界の食料システムを危険にさらし、農業の成長を制限しています。当社のAIを活用したバイオテクノロジープラットフォームは、作物改良のコスト削減、収量の増加、耐病性の向上、新品種の開発の加速など、農業業界が直面する主要な課題に対処する可能性を秘めています」と述べました。

また、Heritable Agricultureは森林が伐採された地域に在来の樹種を再度植え、持続可能な林業を可能にすることにも取り組んでいます。初期の研究では、Heritable AgricultureのAIを用いることで、既存のプロセスより400倍も速く樹木の健康と回復力を向上させられることが示唆されたそうです。

Heritable AgricultureはFTW VenturesMythos VenturesSVG Venturesといったベンチャーキャピタルから資金調達に成功しました。Mythos Venturesのパートナーであるジョナサン・エン氏は、「私たちは、AIで農業に真の革命を起こすために必要な、Heritable Agricultureの創業チームの野心と専門知識に感銘を受けました」「世界はこのような企業を必要としているのです」とコメントしました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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