アメリカ疾病予防管理センターの公開データなど政府サイトからさまざまなページがトランプ大統領の命令で消滅、一体何が消えたのか?

アメリカ政府は、2025年1月20日に就任したドナルド・トランプ大統領のもとでさまざまな改革を進めていますが、その中で政府の公式サイトの多くが修正または削除されています。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)をはじめとする政府組織の公式サイトからも、次々にページが消滅していると報じられています。
The CDC Is Altering Data to Follow Trump’s DEI Order - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/health/archive/2025/01/cdc-dei-scientific-data/681531/
Thousands of U.S. Government Web Pages Have Been Taken Down Since Friday - The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/02/02/upshot/trump-government-websites-missing-pages.html
2025年1月31日夜、「CDCのウェブサイトからデータをすぐにダウンロードするように」という緊急警告が科学者たちの間で広まりました。サスカチュワン大学のウイルス学者アンジェラ・ラスムッセン氏は深夜2時まで起きてデータの保存作業を行ったと報告しています。
予想通り、その後にCDCのウェブサイトから多くのデータが消失。Youth Risk Behavior Surveillance System(若者リスク行動監視システム)のデータ、有害物質・疾病登録局の社会的脆弱(ぜいじゃく)性指標、環境正義指標、HIVデータのランディングページなどが削除され、HIV、肝炎、性感染症、結核に関する約20年分のCDC監視データへのアクセスも制限されました。

アメリカ日刊紙のThe New York Timesが分析した結果によると、削除されたページは以下の機関にも及んでいます。
・司法省から180以上のページ(州レベルのヘイトクライムデータを含む)
・薬物乱用・精神衛生サービス局から約150ページ
・食品医薬品局から100以上のページ
・科学技術情報局から約50の研究論文
・内国歳入庁から25以上のページ
・退役軍人省から3つのページ(LGBTQ退役軍人ケア、マイノリティ退役軍人ケア、ルイジアナ医療システムの公平性に関する内容)
これらの変更は、「性別イデオロジー」を促進するプログラムの終了と、関連文書の撤回を命じるトランプ政権の指示に基づいています。特に「妊娠している人々」「トランスジェンダー」「バイナリー」「ノンバイナリー」「ジェンダー」「出生時に割り当てられた性別」などの用語が標的となっています。
専門家は、この変更が研究や医療に重大な影響を及ぼすことを懸念しており、ブラウン大学の疫学者ケイティ・ビエロ氏は「特定の人口統計グループの健康状態の追跡が困難になる」と警鐘を鳴らしました。例えば、「ゲイの男性は性感染症の発生率が高いが肥満率は低い」「トランスジェンダーの女性はHIV感染率が高いが前立腺がんの発生率は低い」など、人口統計学的な違いを考慮した医療介入の重要性を強調しています。
さらに、このデータの削除は政府の予算配分にも影響を与える可能性があります。特定のコミュニティにおける健康問題の集中を示すデータがなくなれば、そのコミュニティへの支援を削減する根拠として使用される可能性があるとの懸念も示されています。

アメリカの月刊雑誌・The Atlanticは、公衆衛生データの本質的な目的は介入が最も必要な場所や人々を特定することにあり、このデータの改変や削除は現実の歪んだ描写を残すことになると警告しています。特に、データの正確性と完全性が損なわれることで、効果的な公衆衛生対応が困難になり、特定のコミュニティの健康ニーズが適切に把握できなくなる危険性を指摘しています。
また、The New York Timesは削除されたページは政府ドメイン全体のわずか0.1%程度ではあるものの、この変更は過去の政権交代時と比べて「はるかに広範な規模」であることを強調しています。また、一部のページは後に復活する可能性があり、実際の影響の範囲を正確に測定することが難しいことから、深刻な懸念を示しました。
なお、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、「こうした記録を公共のインターネットから削除することは2018年成立のオープンデータ法に違反しているとみなされる」と指摘されています。
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in メモ, Posted by log1i_yk
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