医師と作家を兼業して気づいた「患者の治療には創造的思考が必要」という理論とは?

クリエイティブな思考は、物語の制作やビジネスの新しいアイデアを生んでくれるだけではなく、「治療で患者と向き合う」ということに役立つと、医師と作家を兼業するジェイ・バルーク氏が語っています。
How Creative Thinking Can—and Should—Inform Medical Science ‹ Literary Hub
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バルーク氏は「若いERドクター(救急患者に対応する医師)は、勤勉で礼儀正しい一方で、想像力に乏しい人が多いです」と指摘しています。バルーク氏は医師としてのキャリアを始めたばかりの若い頃の経験で、患者の症状や健康状態、検査結果ばかり注視して、「なぜこの時間にしか病院に来ないのか」「結婚しているのにいつも迎えを呼んだり付き添いがいたりしないのか」などに考えが及ばず、「その女性患者が、夫からの虐待を長年受けてきた」ということに気づかなかったそうです。
アメリカのポストモダン作家であるドナルド・バーセルミ氏はエッセイの中で、「創造的な芸術一般は、『知らない』ことに対処するプロセスである」と表現しました。バルーク氏はこれを引用した上で、創作は知らないことを重要視して向き合いますが、医療行為は「知らない」という課題とは対極にあり、分析や発見は得意な一方で、創造的に考えを発展させていくことは苦手であると述べています。
しかし、患者の話に向き合うことは、創造的な調査であると言えます。話の中で描かれる風景の中に何が隠されているのか、話に何が欠けているのか、ということを敏感に察知しなければなりません。患者は医者に「明確な答えを出してほしい」と願うものですが、医学雑誌のThe New England Journal of Medicineで元編集者を務めたジェローム・カシラー氏が「どれほど多くの情報を収集し、どれほど多くの観察を行い、どれほど多くの検査を実施しても、診断における絶対的な確実性は達成できません」と述べているように、不確実性と向き合うのも医師の仕事だとバルーク氏は指摘しています。その上で、より多くのデータを収集して分析した上で、その大量のデータを全て理解し、そこから結論を組み立てる必要があります。

大量のデータと向き合ったり、患者の症状を聞き取る際には、「クリエイティブライティングと同じ筋肉が必要です」とバルーク氏は語っています。通常、診察を行う際には、「これがこうなっているから、この症状だ」と一本道で判断することが多くなります。一方で、創作を行う際には、登場人物と作品世界を前提に、さまざまな選択やありえる展開を広く考え、その中から物語の展開を選び出します。診察の場合でも、創作のようにオープンな思考で考える事で、医師は間違った構造や偽の結論に飛びついたり、素早く判断することを優先したくなる衝動から逃れることができるとバルーク氏は提案しています。
医療技術がどれだけ発展して知識レベルが上がっても、患者が医師に語り、医師が患者に返答するといった形式は変わっていません。バルーク氏によるとこのプロセスは、医療の不確実性を乗り越えるために強力なツールであるとのこと。バルーク氏は「想像力は、他の人間を理解するために必要であり、彼らの物語の中で何が起こっているかだけでなく、何が起こり得るか、何が起こるべきかを理解するために機能します。医師としての私の成長は、これまでも、そしてこれからも作家としての成長と絡み合っています」と語っています。
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in メモ, Posted by log1e_dh
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