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「GoogleやFacebookはニュース読者のデータをメディアに引き渡さなければならない」という法律にGoogleが反対声明を発表


ニュースメディアが、記事から得た利益の分配や使用方法についてGoogleやFacebookと対等に交渉できるようにすることを骨子としたオーストラリアの法案「News Media Bargaining Code(ニュースメディア交渉法)」について、Googleが公開書簡を発表しました。書簡の中でGoogleは、「この法律により、GoogleやYouTubeの検索が劇的に悪化し、ユーザーのデータが大手ニュース企業の手にわたり、無料で提供されてきたサービスが脅かされます」と述べています。

Open letter - The way Aussies search with Google is at risk - Google
https://about.google/intl/ALL_au/google-in-australia/an-open-letter/

Draft news media bargaining code | ACCC
https://www.accc.gov.au/focus-areas/digital-platforms/draft-news-media-bargaining-code#about-the-draft-code

Google warns consumers ACCC code will create a ‘dramatically worse Google Search and Youtube’
https://mumbrella.com.au/google-warns-consumers-accc-code-will-create-a-dramatically-worse-google-search-and-youtube-638871

かねてからオーストラリア政府は、GoogleやFacebookがニュース配信から得ている利益をニュースメディアに分配させるべく、法整備を進めてきました。

GoogleやFacebookがニュース収集・配信で得ている収益を既存メディアに分配するルールを作るよう政府が動く - GIGAZINE


オーストラリア政府の要請に基づき、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)が2020年7月31日に、ニュースメディアとプラットフォームの交渉について規定した法律である「ニュースメディア交渉法」の草案を発表しました。この法律について、ACCCはGoogleとFacebookを名指しし、「我が国のニュースメディアとデジタルプラットフォーム、とりわけGoogleとFacebookの間にある交渉力の不均衡に対処するため、行動規範を作成するよう政府が我々に要請したものです」と説明しています。

ACCCは新法案に関する発表の中で、利益の分配に関する条項の他に以下の3点が「最低基準」として盛り込まれているとしています。

・ランキングやニュースの表示に関するアルゴリズムに変更を加える場合は、事前に通知すること。
・オリジナルのニュースコンテンツを適切に見分けられるようにすること。
・GoogleとFacebookがニュースコンテンツを通じて収集した読者のデータを、ニュース発行者に提供すること。

この法律は、ニュース記事を発行しているオーストラリアのメディアとGoogleなどのプラットフォームの間にある力関係の不均衡を是正し、民主主義にとって不可欠であるメディアの独立性を維持することを目的としたものですが、ユーザーデータの引き渡しなど法律で規定することについては、反発の声もあがっています。


Googleは8月17日に、オーストラリアのユーザーに呼びかけるために作成された特設ページで、法案に対するGoogleの見解をまとめた公開書簡を発表しました。その中で、Googleのオーストラリア事業の責任者であるメル・シルバ氏は、ニュースメディア交渉法によりオーストラリアのユーザーが以下の3点の不利益を被る可能性があることを指摘しています。

・Googleがニュースメディアに不当な便宜を図ることを強制されることにより、Google検索やYouTubeの利便性が損なわれる。
・Google検索などのデータがニュースメディアに引き渡されることで、ユーザーの個人情報が危険にさらされる。
・大手メディア企業による不合理な要求の影響で、Googleが無料で提供してきたサービスの存続が危ぶまれる。

また、YouTubeのアジア太平洋地域事業の責任者であるゴータム・アナンド氏は8月17日に公式ブログを更新し、「今回草案が公開された新法は、小規模なクリエイターや視聴者より伝統的なニュース業界を優先しているため、複数の分野への影響が深く懸念されています」と述べて、YouTubeの検索性やクリエイターの収益に悪影響が及ぶことを改めて強調しました。


一方、ACCCのロッド・シムズ委員長は、オーストラリア・イスラエル商工会議所が主催した8月6日の会議の中で「Googleなどのデジタルプラットフォームの最先端で革新的なサービスは、人々や企業にとってかけがえのないものであることが証明されています」と認めつつ、「デジタルプラットフォームは、オーストラリア発のニュースを利用することで膨大な利益を得ています」と指摘。

その上でシムズ委員長は、「メディアを含むオーストラリア企業が、新しいデジタル時代の中で自分たちの長所を発揮しながら競争していけるようになる必要がありますが、既存の法律の枠組みではデジタル化の波にうまく適応できませんでした」と述べて、世界的なIT企業と国内メディアの間にある隔たりを埋めるためには、法整備が必要との見方を示しています。

7月31日に草案が公開されたニュースメディア交渉法は今後、8月28日まで利害関係者からの意見を受け付けた後、オーストラリア議会に提出される予定とのことです。

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